「高校野球100年」節目の大会を終えた甲子園大会。これまでの歴史を振り返り、今回は平成時代に行われた決勝戦を、選りすぐって紹介しよう。
1989年(平成元年)
ーー第71回大会決勝
帝京 |000|000|000|2|2
仙台育英|000|000|000|0|0
まさに「三度目の正直」だ。甲子園で3回目となる決勝戦に駒を進めた帝京(東東京)が、初の全国制覇を成し遂げた。
後に巨人や近鉄で活躍する吉岡雄二と、仙台育英(宮城)の大越基の息詰まる投げ合いは、決勝戦では史上3度目となる0-0のスコアのまま、延長戦へ突入した。
10回表、ようやく試合が動く。帝京の鹿野浩司が1死二、三塁から決勝の2点適時打を放ち、そのまま勝利。東京勢としては13年ぶりの優勝、東と西に分かれてから、初めての東京勢の優勝であった。
敗れたとはいえ、大越の投球も見事。早稲田大学中退後、ダイエーに入団して、引退した現在は早鞆高(山口)の野球部監督に就任している。
1996年(平成8年)
ーー第78回大会決勝
松山商|300|000|000|03|6
熊本工|010|000|011|00|3
高校野球100年の歴史にその名を刻んだ決勝戦。延長10回裏、一死満塁の場面で奇跡は起きた。右翼の守備固めに入った矢野勝嗣が、大飛球を本塁にダイレクト返球。三塁走者・星子崇を本塁封殺して、熊本工のサヨナラ優勝を阻止した。
大ピンチを脱した松山商は11回裏、星加逸人のスクイズで勝ち越し。続く今井康剛も適時打を放ち6−3で勝利。27年ぶり5度目の優勝を果たしたのだった。
1998年(平成10年)
ーー第80回大会決勝
京都成章|000|000|000|0
横浜 |000|110|01X|3
この年の決勝は、高校野球ファンには説明不要だろう。エース松坂大輔(ソフトバンク)を中心に、最強軍団・横浜が貫禄の全国制覇を果たした。
準々決勝のPL学園戦では、延長17回の死闘を演じて決勝にコマを進めた横浜。誰もが予想できなかったノーヒットノーランで、80回記念大会は幕を閉じた。
松坂だけでなく、後にプロ野球界を牽引する多くの選手が躍動したこの大会は、高校野球100年の歴史のなかでも、特に印象に残る大会だったといえるだろう。
2004年(平成16年)
ーー第86回大会決勝
済美 |230|013|010|10
駒大苫小牧|102|303|31X|13
北海道勢が、春夏通じて初めて全国制覇を果たした歴史に残る決勝戦。20安打13得点の駒大苫小牧が、ついに雪国のハンディを克服した。
試合は両チームあわせて39安打、23得点の大打撃戦に。序盤は劣勢だった駒大苫小牧は、ジワジワとこの春のセンバツ王者の済美を追い詰める。3点を追う6回には、糸屋義典の2点本塁打で1点差とし、済美の先発・福井優也(広島)をKO。続く藤村昌弘も攻略して同点に追いつき、7回には3点を奪い勝ち越し。
駒大苫小牧はこの大会5試合でチーム打率.448を記録。大会の打撃記録を塗り替えるなど、高校球史に残る優勝を果たしたのだった。
2006年(平成18年)
ーー第88回大会決勝
駒大苫小牧|000|000|010|000|000|1
早稲田実 |000|000|010|000|000|1
駒大苫小牧|000|001|002|3
早稲田実 |110|001|10X|4
高校野球ファンなら、誰もが覚えているであろう決勝戦だ。73年ぶりの夏3連覇を狙う駒大苫小牧と、初優勝をかけた早実の間で行われた決勝は、8月20日の試合は互いに譲らず、1対1のまま延長15回引分け。なんと、37年ぶりの決勝再試合が実現した。
21日に行われた再試合は、早実が終始、主導権を握る。前日の試合も含めて4連投となった斎藤佑樹(日本ハム)は、2本塁打を浴びるも13奪三振の完投勝利。無尽蔵のスタミナをみせた。一方の田中将大(ヤンキース)は、前日と同様に、先発・菊地翔太の後を受けて登板。やや疲れがあったか、2回、6回、7回と適時打を浴びて失点。しかし、最終回に2点を返した駒大苫小牧は1点差に詰め寄るも、最後の打者・田中のバットは空を切り、早実が見事、初優勝を成し遂げた。
2015年(平成27年)
ーー第97回大会決勝
東海大相模|202|200|004|10
仙台育英 |003|003|000|6