8月24日現在、大谷の打撃成績は打率.343、19本塁打、51打点。そして、出塁率.446、長打率.644、OPS(出塁率+長打率)1.090という見事な数字を叩きだしている。
本塁打と打点を除けば、規定打席未到達ながら他の部門すべてパ・リーグのトップクラス。とくに、得点との相関関係の深さで近年重視されているOPSの1.000超えは、パ・リーグでは大谷だけ。セ・リーグでも山田哲人(ヤクルト)と筒香嘉智(DeNA)の二人しかマークしていない。
ちなみにOPSの通算記録は、1位が王貞治(元巨人)の1.080、2位が松井秀喜(元ヤンキースほか)の.996。あらためて大谷のすごさがうかがい知れるだろう。
大谷は現在7盗塁と、こちらも2ケタが見えてきた。大きなストライドで加速するその走塁は、投打に勝るとも劣らない武器だ。
単打性の打球を足で二塁打にしたり、一塁走者から長打で本塁に生還するシーンは今季、おなじみの光景。大谷の後を打つ中田翔の打点のうち、大谷の走塁のおかげというものがけっこう含まれている。
二刀流の弊害のひとつが、打順の流動化。今季の前半は、大谷が先発しないカードでは大谷が主に3番か5番を打ち、先発するカードでは別の打者がクリーンナップをつとめた。「猫の目打線」は珍しいことではないが、カード毎に主軸が変わるのは打線の安定につながらない。
また、投手起用における最大の懸念はケガによるローテ回避。とくに大谷の場合は、大事なカードを任される場合が多いためにリスクも大きい。
もちろん投手としての大谷を見たくないといえば嘘になる。しかし、大事なのはチームの優勝。そのためには栗山監督の言葉通り、「勝つために最善の策を考える」ことが最優先なのだ。
文=サトウタカシ (さとう・たかし)