日本ハムの吉井理人投手コーチが所有する愛馬、フォーシーム(牝3歳・勢司厩舎所属)が、7月31日の札幌競馬の第2レース・3歳未勝利戦に出走した。
この日が今年1月のデビュー以来、4戦目となったフォーシーム。初戦(中山芝1600m)は中団から伸びきれず12着、2戦目(東京芝1600m)は先行するもバテて14着と、当初は手応えのないレースを見せていた。
しかし、距離を縮めた3戦目(福島芝1200m)は、前半は速い流れについていけないような感じだったが、直線に向くと馬群を縫うように追い込んで6着。次走への期待が膨らむ、ゴール前の脚だった。
そんな状況で迎えたこの日のレースは、前述したように3歳未勝利戦。文字通り、まだ勝ち星を挙げられていないメンバーで争う一戦だが、対戦相手のなかには2着や3着の経験がある馬も多く、前走の6着が最高のフォーシームは、12頭中8番人気。決して下馬評は高くなかった。
6番枠からスタートしたフォーシームは、前走同様に、後方から。途中から勢いをつけて上がっていき、最後の直線に向くと、ジリジリと脚を伸ばして7着。
レース半ばで前をカットされ、勢いを殺されるようなシーンがありながらも、最後まであきらめずに前に出ようとする意欲も見られ、内容は悪くなかった。
また、今回は初のダート(砂)のレースだったが、戸惑うことなく走れていた。
今後について、馬主である吉井コーチは、自身の公式ブログで「1度、生まれ故郷の浦河に放牧に出し、その後、もう1回、札幌競馬場で出走できればと考えています」とコメント。
札幌競馬は、9月4日まで開催されているので、短期放牧に出し、リフレッシュさせて初勝利を狙おうというプランのようだ。
ただ、決して時間に余裕があるわけではない。というのも、今年の3歳未勝利戦の開催は10月の頭までと、すでに日程が決まっているからだ。そこまでに勝ち上がれなかった場合、通常は、地方競馬に転出するか、現役引退という選択が現実的だ。
そのままJRAに在籍し続けることも可能ではあるが、未勝利馬は基準となる賞金が0のため、未勝利戦がなくなると出走できるレースが限られ、さらに、格上相手との戦いを余儀なくされる。結果を残さないと、秋には厳しい判断が下されるのは、プロ野球選手だけではないのだ。
地方競馬に転出したとしても、一定の成績を残せばJRA復帰も可能。また、移籍先で素質が開花し、出世する馬も少なくない。
さらに、フォーシームは、日本ダービーや天皇賞を勝ったメイショウサムソンの妹という血統の馬なので、現役を終えれば繁殖牝馬として牧場に迎えられることが濃厚。決して悲観するばかりではない。
とはいえ、まずは現所属のJRAで1勝を挙げたいところ。吉井コーチが所属する今季の日本ハムのように、快進撃が見られるか。フォーシームの今後に注目したい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)