長年、西武のエースを務めてきた岸孝之がFAで楽天へ移籍。今シーズンからは菊池雄星が新たなエースとしてチームのローテーションを支えることになる。
辻発彦新監督から早々と開幕投手に指名され、調整を行ってきた菊池。宮崎県日南市・南郷スタジアムでの1次キャンプ最終日に行われた紅白戦では、栗山巧を新球の「高速フォーク」で空振り三振に仕留め、侍ジャパンのメンバーでもある秋山翔吾を150キロのストレートで一塁ゴロに打ち取るなど、変化球、ストレートともに冴え渡っている。
昨シーズンは、最終戦でようやく規定投球回に届いた。今シーズンはそれを余裕でクリアしたうえでの、初タイトル奪取に期待したい。
昨シーズンは未勝利に終わった斎藤佑樹。背番号が「1」に変わった今シーズンは、高校時代の輝きを取り戻す投球を期待されている。
この紅白戦、練習試合では昨年以上の結果を残してきた。今シーズンから投球の軸に据えようとしているツーシームの最速は142キロを記録。空振りも奪っている。併殺も狙える武器・ツーシームの仕上がりは上々だ。順調なキャンプを過ごしているように見えたのだが……。
2月21日に行われた楽天との練習試合では、2回を投げて7被安打、5失点と大炎上。不安要素が顔をのぞかせてしまった。開幕までに修正できるのか気になるところだ。
シーズンオフには、栗山英樹監督が海外メディアに「斎藤はなぜ悪いのか? 」と聞かれるなど、海の向こうでも知名度の高い斎藤。今シーズンは「結果」で話題に上ることを期待したい。
昨秋のドラフトで5球団競合の末に、ソフトバンクに入団した田中正義。アマチュア球界最強と謳われた黄金ルーキーだが、キャンプではフィールディング、牽制と課題が現れた。
しかし、投球そのものに関しては152キロをマークするなど順調。シート打撃で制球を乱す場面もあったが、その後の紅白戦ではしっかりと修正してきている。
創価大4年時に痛めた右肩の状況が心配されたが、キャンプ中盤まで問題なし。「痛いところはないのでたくさん練習する」と語っており、周囲の不安を一掃した。開幕ローテーション入りをつかめるか。黄金ルーキーの実力を見せつけるデビューが待ち遠しい。
キャンプイン前日に発表された鈴木大地の二塁コンバート。鈴木は昨年のベストナインに選ばれた遊撃手。突然空いた鈴木の穴をめぐって、遊撃のレギュラー争いは熾烈を極めている。そのなかで、レギュラー候補として期待として大きな期待をかけられているのが2年目の平沢大河だ。
昨年のシーズンオフにはアジアウインターベースボールリーグ(AWB)に参加。18試合に出場し、打率.280、2本塁打、13打点と結果を残した。また、今シーズン初の対外試合となったLamigo(台湾)との交流試合では、本塁打に三塁打と2本の長打を放つなど、成長著しい姿を見せた。
遊撃のレギュラー奪取に向けては、中村奨悟、三木亮、大嶺翔太、高濱卓也とライバルは多い。しかし、平沢は「チャンスだと思う」とコメント。強い気持ちで前を見据えている。
2013年のセンバツ。安樂智大は済美高の2年生エースとして5試合で772球を投げ抜き、投手の放る球数にデリケートなアメリカのメディアからも「クレイジー」と波紋を呼んだ。その後、故障の苦しみを味わったが、あの甲子園の熱投から4年が経った今、楽天先発陣の3番手候補にまでのし上がってきた。
2月中盤に行われたハンファ(韓国)との練習試合では3回を投げ1被安打、無失点、3奪三振でまとめてみせた。梨田昌孝監督も「大人のピッチング」と賞賛。また、三木谷浩史オーナーは「則本、岸に続く三本柱でいけるんじゃないか?」と話すなど、評価は上がっている。
プロ3年目となる今シーズン、先発ローテーションの一員として、フルに1年間を戦うことに期待したい。
昨シーズンはルーキーながら、開幕戦で1番・指名打者としてスタメン出場を果たした吉田正尚。今シーズンはクリーンアップを務めることが濃厚だ。
オフのアジアウインターベースボールリーグでは18試合で打率.556、6本塁打、29打点と異次元の成績で周囲を驚かせた。
キャンプでも紅白戦、練習試合で本塁打を量産。糸井嘉男の抜けた穴をしっかりと埋め、T-岡田、新外国人選手のロメロと4番を争っている。
今シーズンは、豪快なフルスイングから放たれる本塁打を何本見せてくれるだろうか。
文=勝田 聡(かつた さとし)