ここ3年は打率3割を記録。特に2014年は終盤、糸井嘉男(オリックス)と激しい首位打者争いを演じ、リーグ2位の打率.327を記録した。
左足骨折に見舞われた昨季は規定打席に届かなかったが、打率.301を堅持した。
ところが、今季は開幕当初から調子が上がらない。打率は1度も3割に乗っておらず、スタメン落ちする日も。6月9日ヤクルト戦で、プロになって2度目の1試合3三振を喫すると、その数日後に2軍落ちとなってしまった。
銀次が1軍に戻ってきたのは、交流戦明けの6月24日。翌25日ソフトバンク戦が復調の契機になった。
この試合で、銀次と同期の枡田慎太郎が終盤に代打逆転決勝2ランを放った。そして、お立ち台から「特にファーストを守っている銀次が、もっとしっかり打ってもらえればチームも乗っていく」と、名指しで銀次に発破をかけたのだ。
以降、朋友の叱咤激励に応えるかのように34打数11安打の打率.324の槍働きをみせている。11本のヒットのなかには、チームを勝利に導く走者一掃の逆転決勝二塁打、ソフトバンクのサファテ撃ちの決勝打が含まれている。
その勇姿をみて思う。やっぱり楽天は銀次が活躍してナンボ。銀次のバットから快音が響かない楽天は、イチゴが乗っていないショートケーキと同様でどこか物足りない。こう感じたのは、筆者だけではないはずだ。
さて、現在打率が.247の銀次が今後3割台に乗せることは可能なのか。
高いポテンシャルを持つ打者だ。その可能性は残されている。というのは、首位打者を競った2014年は、80試合以降で225打数82安打。打率.364と打ちまくった。
単純計算だが、79試合を終えた現在の成績にこの数字を合算してみると、468打数142安打、打率は.303になるのだ。
そのために、まずは固め打ちを見せてほしい。今季、まだ1度しか達成していない猛打賞を、今後何回見せてくれるのか。
チームが借金を完済するためにも、順位浮上を目指すためにも、背番号33が打率3割に乗せることが必須だ。
文=柴川友次(しばかわ・ゆうじ)
信州在住。郷里の英雄・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドに見える、楽天応援の野球ブロガー。各種記録や指標等で楽天の魅力や特徴、現在地を定点観測するブログを2009年から運営の傍ら、有料メルマガやネットメディアにも寄稿。