シーズン半ばから広島の独走を許し、2年連続2位に終わった今季の巨人。3年連続V逸となると2005年以来となるだけに、ペナント奪還は至上命題。その達成を目指す来季のコーチングスタッフが発表された。3人が2軍から1軍への昇格となったが、目玉は二岡智宏打撃コーチだ。
二岡コーチは、近畿大から1996年秋のドラフト2位(逆指名)で巨人に入団。ルーキーイヤーからショートのレギュラーに定着し、主力として活躍。4度のリーグ優勝に貢献した。
2008年オフには、トレードで日本ハムへ。足の故障もあって、DHや代打での出場が多かったが、ここでも2度の優勝を経験している。
爽やかなルックスでファンの人気も高く、高卒と大卒の違いはあるが、長打力もあるショートという点では、今の坂本勇人と似たような存在だった。
2013年限りで現役を引退すると、解説者を務めるかたわら、外国人選手獲得のフォローを行うアドバイザーとして巨人に復帰。さらに、今季からは2軍打撃コーチとして8年ぶりに古巣のユニフォームを着て若手の指導にあたっていた。来季からは1軍打撃コーチとして尽力することとなる。
この配置転換は、二岡コーチのバッティングを高く評価していた高橋由伸監督にとっても大きい。年齢は高橋監督のひとつ下で、現役時代はともにクリーンアップを組むなど、チームメイトとして戦った。
そんな盟友ともいえる二岡コーチがベンチにいれば、高橋監督も心強いだろう。V奪還へ向け、2年目の指揮官にとってはこの上ない援軍となるのではないか。
今季のチーム打率は、広島が.272(リーグ1位)だったのに対して、巨人は.251(リーグ3位)と、大きく水を開けられた。また、本塁打も広島が153本(同1位)で、巨人は128本(同3位)。さらに、四球数も広島は500個(同2位)で、巨人は389個(同5位)となっており、これが出塁率の差(広島は.343で同1位、巨人は.310で同4位)にも表れている。
全体的なレベルアップを目指して、二岡コーチは、1軍打撃部門に留任した江藤智コーチとともに、秋季キャンプから忙しくなりそうだ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)