今シーズンは最下位に終わったヤクルト。すでに小川淳司監督が辞任し、高津臣吾新監督体制で組閣は進んでいる。しかし、監督の交代だけでチームが強くなるわけではない。来シーズンの巻き返しのためには戦力の上積みが必要になってくる。
その戦力上積みの手段の一つがドラフト会議である。即戦力、将来性のある素材型など様々な選手がいるわけだが、チーム状況に応じて指名する選手は変わってくる。そこで今回は現時点のヤクルトに合う(であろう)指名を考えてみた。
今年のドラフトは佐々木朗希(大船渡高)、奥川恭伸(星稜高)、森下暢仁(明治大)の3人がトップクラスの実力とされており、前評判が高い。もちろんヤクルトファンの筆者も、1位はこの3人から検討した。
結果、一番即戦力に近いであろう森下を選んだ。その実力は疑いようもない。さらに森下は4年間に渡って神宮の地で戦ってきた。慣れ親しんだそこはまさにホームグラウンド。熱い声援を受け、1年目からのローテーション入りを期待したい。
しかし森下を単独指名で獲得できるほど世の中は甘くない。仮に、いや万が一抽選を外してしまった場合は、宮川哲(東芝)、太田龍(JR東日本)、河野竜生(JFE西日本)、立野和明(東海理化)といった即戦力の社会人投手を狙う。その先は考えないでおこう…。いや、もしかしたら山田哲人のような逸材に巡り合う可能性も…。なにはともあれ高津監督のゴッドハンドに期待だ。
2位では吉田大喜(日本体育大)を狙いたい。ヤクルトはセ・リーグ最下位となったため、13番目の指名ができる。宮川、太田、河野、立野といった即戦力の社会人投手が残っていれば、指名したいが12人の1位指名で消えている可能性が高い。残っているであろう即戦力投手のなかで吉田を推す。
侍ジャパンU-18代表との壮行試合でも完璧なリリーフを見せた。身長175センチ80キロと小柄とまではいかないものの、野球選手にしては大きくない。ただ、ヤクルトには石川雅規や小川泰弘のように上背がなくても、戦力となった大卒投手は多い。吉田にも同様の活躍に期待したいところだ。
3位は高校生の内野手を指名する。それも遊撃手。現在は西浦直亨、廣岡大志、奥村展征らが争っているが、次世代の選手を獲得し4年後、5年後の準備を進めたい。そこで浮上するのが紅林弘太郎(駿河総合高)だ。紅林は高校通算40本塁打を放った大型遊撃手として注目を集めている。逆方向にも長打が打てるのは強み。まだまだ粗削りだが、現役時代に「ブンブン丸」の異名をとった池山隆寛2軍監督のもとで鍛錬を積んでほしい。
4位で松岡洸希(埼玉武蔵ヒートベアーズ)、5位で平岡航(伯和ビクトリーズ)と投手を2人。松岡は来年が高卒2年目。かつてクローザーとして活躍した林昌勇のようなサイドスローは魅力。1軍、2軍問わず実戦で投げながら成長を促したい。平岡は即戦力の中継ぎ左腕として期待。おそらく1年目から1軍で通用する(はずだ)。
6位では捕手を指名したい。今年は大学生に有望な捕手が多いが、さすがにこの順位では残っていないだろう。そのなかで目をつけたのが藤田健斗(中京学院大中京高)。侍ジャパンU-18代表の候補に選ばれた逸材。高卒の捕手だけに数年間は2軍でプロの捕手としてのノウハウを叩き込む。
7位では加藤壮太(埼玉武蔵ヒートベアーズ)を狙う。身長188センチ、体重89キロと体はしっかりしている大型外野手。高卒3年目の今シーズンは成績が飛躍的に向上した。打って守れる外野手として世代交代を進めたい。
10月6日時点ではヤクルトの6人から7人の指名が予定されているとの報道があった。そのため、ここ2年は支配下で8人の指名を行ったが本稿では7人とした。この指名はあくまで筆者個人の妄想であり、なんの裏づけもない。その他の球団の動向も一切加味していない。
それでもやっぱり指名を考えることはなによりも楽しい。ドラフト会議までまだ時間はある。読者の方々も贔屓球団で考えてみてほしい。。
■ヤクルト・ドラフト全順位の指名要望
1位:森下暢仁(明治大/投手)
2位:吉田大喜(日本体育大/投手)
3位:紅林弘太郎(駿河総合高/内野手)
4位:松岡洸希(埼玉武蔵ヒートベアーズ/投手)
5位:平岡航(伯和ビクトリーズ/投手)
6位:藤田健斗(中京学院大中京高/捕手)
7位:加藤壮太(埼玉武蔵ヒートベアーズ/外野手)
文=勝田聡(かつた・さとし)