食を大事にしている野球選手は、日本人だけではない。助っ人選手も、日本の食事を楽しみ、そして独特のこだわりを持っている。
また、選手の妻に目を向けると、愛妻が食に関する知識を身につけ、夫をサポートできればパフォーマンスアップにもつながる。
『突撃! 隣のこだわり飯 〜プロ野球選手の食卓〜』後編では、近年の助っ人が愛した日本食を中心に、愛妻食にも触れてみたい。
本塁打を打ったときの「寿司ポーズ」でおなじみの、寿司が大好きな助っ人がレアード(日本ハム)だ。球団関係者に連れられていった札幌の寿司店でその味に魅了され、それ以来、足繁く通うようになったという。
とくにお気に入りなのが、極上のトロに香ばしく火を入れた「炙りトロ」。このネタが、2015年の入団以来、3年連続30本塁打以上を放っている優良助っ人の元気の源となっていることは間違いない。
ラーメン好きで知られるのがメッセンジャー(阪神)だ。来日9年目にして初のオールスターゲーム出場を果たしたメッセンジャーだが、遠征各地でいろんな味のラーメンを食べ歩くほど惚れ込んでいるようだ。
それが高じて、ついに本拠地の甲子園球場の食堂では、「メッセの豚骨醤油ラーメン」をプロデュース。上々の人気を博している。濃厚スープに、具はチャーシュー、海苔、ほうれん草とシンプルで、「家系」に近いスタイル。「入れると味が変わってしまう」とのことから、もやしやねぎ、メンマは入れていない。甲子園球場で観戦の際には、ぜひ味わっていただきたい。
マートン、ゴメス、ブラゼルと、いずれも阪神でプレー経験がある強打者3人が好きだったのが牛丼だ。当時、牛丼店を訪れる姿がたびたび目撃されていた。なかでもブラゼルは、アメリカに帰国してからも、現地の「YOSHINOYA」に行ったことをツイッターで報告するなど、筋金入り。
マートンは2010年に右打者歴代最多となる214安打を放つなど7年で1020安打を量産。ゴメスも2014年に打点王(109打点)を獲得。ブラゼルもタイトルこそ届かなかったものの阪神時代の2010年には47本塁打、117打点とハイレベルな数字をマークしている。
外国人でありながら、牛丼を愛し日本の文化に慣れ親しんだことが、好成績につながったのだろう。
近年の選手ではないが、変わったところでは1989年にヤクルトで42本塁打を放ち、ホームラン王に輝いたパリッシュか。翌年は阪神でも28本塁打と長距離砲として活躍。入団会見で、「好物はワニ肉」と語ったことから、それ以来、パリッシュといえばワニというイメージが定着。
当時、東京の都心部にはワニ肉を提供する飲食店が1カ所しかなく、そこに通っては、故郷・フロリダの味を楽しみ、英気を養っていたという。
選手の食生活を支えるのが妻たち。本を読んで勉強したり、料理教室に通ったりと、知識を身につけ、夫のパフォーマンス向上に二人三脚で取り組む夫婦も少なくない。
その流れで、食に関する資格を取得するというのもお決まりのパターン。いくつかある資格のなかで、定番なのが田中将大(ヤンキース)の妻である里田まいが取得したことで話題となった「ジュニア・アスリートフードマイスター」だろう。
これは民間の資格で、現在では「アスリートフードマイスター3級」という名前になっている。まず、6時間の講座を受けるか、テキストなどを使って自習したのち、90分のマークシート試験を受け、7割以上の正解率を達成できれば晴れて資格取得となる。ちなみに、合格率は9割前後とも言われており、難易度は低め。
この「3級」は入門編といった位置づけで、さらに知識を深めたい場合は、2級、1級とステップアップも可能。当然ながら、レベルが上がるに従って、資格取得のハードルも高くなる。
アスリートのパートナーを目指す方、あるいは子どもがプロを目指している方などは、男女問わず挑戦してみるのも悪くないかも!?
文=藤山剣(ふじやま・けん)