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今年がラストチャンス? レギュラー奪取に燃える上本博紀(阪神)が背番号に込める想い


 今年がラストチャンスかもしれない。

 若手の台頭が著しい阪神にあって、必死になってレギュラー奪取に挑んでいるのが上本博紀だ。

 上本にとって、阪神に入団してからの8年はあっという間だった。毎年期待されるも、ここぞというところで故障を繰り返し、常に1軍にいるわけではなかった。

 そんな上本が覚醒したのか、今年のオープン戦では面白いようにヒットを連ねている。途中出場した3月11日の西武戦で3安打を皮切りに、12日の巨人戦で3安打、14日のオリックス戦で2安打を放つまで、8打席連続安打を記録。

 打数は少ないが、3月15日の時点で打率6割の固め打ちを見せ、一気に開幕スタメンに名乗りを挙げてきた。

上本にとっての背番号2と背番号10


 心機一転、今シーズから上本の背中には新たなスタートを意味する「00」の背番号が浮かび上がる。

 元々上本が慣れ親しんだ背番号は「4」だ。背番号番は二塁を主として守っていたため自然の成り行きだったが、高校時代と大学時代にその背番号4をあることがきっかけで変更することになる。


 広陵時代、1年夏から4季連続で甲子園に出場した上本は、2年時のセンバツでは西村健太朗(巨人)、白濱裕太(広島)のバッテリーとともに優勝に貢献する。このときの背番号は4番だった。

 しかし3年のセンバツでは、大会2カ月に中井哲之監督から捕手へのコンバートを持ちかけられ、チームのために受諾。捕手として背番号2を背負って出場した。

 また、早稲田大の4年時には主将を務めた。東京六大学リーグの主将は背番号10を背負うのが決まりだ。野球だけでなく、主将としてチームを引っ張ることで得た成長が、プロへの道を開くことにつながったのだとしたら、このときに背負った背番号10は大きな転機を意味する番号だったことになる。

 そして今シーズン、阪神に入団して以来8年間つけてきた背番号4を返上、背番号00で再スタートを切った。大きな転機となるであろう背番号00には、上本の並々ならぬ決意がうかがえる。

 背番号の変更は、上本の野球人生で大きな転機となってきたからだ。

二塁のレギュラー奪取に挑む


 背番号4を返上したとはいえ、上本が狙うポジションは二塁に変わりない。今シーズンの阪神の二塁は、かつてないくらいの超激戦区となっている。

 若手優先の起用方針から遊撃を外れ、未だポジションが定まらない鳥谷敬。キャンプで頭角を現し、打撃・守備ともにほぼ合格点のルーキー・糸原健人。ファームでリハビリに励み、完全復活を期す西岡剛。守備ではほかを寄せつけず、スイッチヒッターの特訓も積んでいる大和。ほかにも荒木郁也や板山祐太郎も参戦し、ライバルは数えきれない。

 上本の武器は小柄だがパンチ力のある打撃と、足を使った攻撃が仕掛けられる機動力だ。逆に不安要素は、スローイングも含めた守備力。

 このキャンプでも、上本のスローイングの難点(球を離す際の引っ掛けるクセ)を矯正するために、金本知憲監督が打席に立ち、バッティングピッチャーとして、投球練習をする珍しい光景がみられた。


背番号00が最大の転機になるか


 自己最多の131試合に出場した2014年シーズンは、打率.276、7本塁打を残すも、守備ではリーグ最多の17失策を記録している。

 今シーズン、守備力向上が至上命題の阪神にあって、守備はレギュラー奪取のために克服しなければならない課題だ。

 これまでの野球人生で、周りの状況の変化とともに背番号が変わり、自らを奮い立たせてきた上本。

 プレー中は、自分では見ることができない背番号。しかし、背番号00が甲子園を駆け回る姿をファンはしっかり目にすることができる。

 この背番号00が上本にとって最大の転機になることを願ってやまない。


文=まろ麻呂
企業コンサルタントに携わった経験を活かし、子供のころから愛してやまない野球を、鋭い視点と深い洞察力で見つめる。「野球をよりわかりやすく、より面白く観るには!」をモットーに、日々書き綴っている。

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