2014年、断然の首位を走っていたソフトバンクが突然失速したのが9月。あれよあれよと貯金を減らし、残り11試合からの10試合で1勝9敗という体たらく。とうとう追い上げてきたオリックスにマジックが点灯してしまう。
そして迎えた、ソフトバンクのシーズン最終戦。場所はヤフオクドーム。相手はオリックス。
勝てばソフトバンクの優勝。負ければオリックスが残り2試合でマジック1。崖っぷちに立つソフトバンクの先発のマウンドを託されたのは大隣憲司だった。
前年、黄色靭帯骨化症を患ったが、この年、8試合に登板の大隣は大舞台で6回無失点と好投。試合は延長戦にもつれ込み、松田宣浩の劇的なサヨナラヒットでソフトバンクが優勝を決めた。
大舞台でチームに勝利を呼び込んだ大隣は、クライマックスシリーズで2試合、日本シリーズでも1試合に登板し活躍。秋山幸二監督のラストイヤーを日本一で締めた立役者となった。
その大隣だが今季は左ヒジの手術の影響もあり、1軍での登板はここまで1試合のみ。ファームで19試合に登板しているものの、6勝7敗(9月12日現在)と結果を出していない。
しかし、2年前もシーズン3勝の男が、ラスト4試合の登板でチームを日本一に導いたように、大舞台に強い大隣の姿をファンは期待している。
「ここからは一戦一戦が総力戦」
工藤公康監督も栗山英樹監督も同じことを言っている。
そう。総力戦。
総力戦だからこそ、マウンドに立つ大隣の姿が見たい。そう思っているホークスファンは多いに違いない。
工藤監督。ファンの声、聞こえていますか?
文=溝手孝司(みぞて・たかし)
札幌在住。広告代理業を営みながら、ライター、イベントなどスポーツ関連の仕事もこなす。北海道生まれなのにホークスファン歴40年。暗いニュースが多い中、嬉しかった話題はプロ入り4年目の真砂勇介外野手の1軍昇格。しかし結局出番無く2日で登録抹消……。早く優勝を決めて、真砂に1軍でのプレーの機会を与えてくれー。