昨季、スタメンマスクを最も多く被ったのが若月健矢だ。85試合に出場して74試合で先発出場した。
4月途中で1軍登録されたが6試合に出場しただけで2軍落ち。6月の交流戦で再び1軍登録されると、スタメンで起用される機会が多くなり、7月以降はほぼ若月が先発マスクを被ることになった。
オリックス首脳陣からは「根拠のある配球をする」と、リード面で高く評価されている。
伊藤光にとっては、昨季は悔しい結果に終わった。開幕からスタメン起用されるも、配球面を理由に4月15日に登録抹消。若月と入れ代わる形ですぐに1軍に再登録されたが、6月以降は「金子千尋が先発するときにスタメンマスクを被る」という起用法になってしまった。
8月にはいつもと違うミットでの守備を経験することとなる。一塁での起用だ。伊藤の打撃を生かすための起用だろうが、違う視点から自軍の投手を見るという意味で、いい経験になったのではないだろうか。
2014年にFA移籍でオリックスに入団した山崎勝己。伊藤と併用されていたが、特に外国人投手と組むことが多い。昨季もディクソンとのコンビでシーズン初勝利を飾った。
しかし若月の台頭もあり、7月に登録抹消されると、その後、1軍に復帰することはなかった。43試合に出場し、32試合で先発。打率.152と打撃が課題だが、ベテランの意地を見せたい。
1軍と2軍の行き来が激しかった伏見寅威。昨季は17試合に出場。捕手だけでなく、一塁や三塁での起用もあった。大卒5年目となる今季は勝負の年。持ち味の打撃力で正捕手争いに食い込みたい。
Honda鈴鹿からドラフト7位で入団したルーキーの飯田大祐。目標とする捕手は中央大の先輩・阿部慎之助(巨人)。宮崎キャンプでは1軍に帯同している。ここで首脳陣にアピールすることができるか。
正捕手争いは、若月と伊藤のマッチレースとなるだろう。どちらが正捕手になってもおかしくはない。あるいは、両者の併用ということも考えられるであろう。
第3捕手の座は山崎、伏見、飯田の三つ巴の争い。山崎はベテランの安心感があり、伏見は打撃でアピールしたい。ルーキーの飯田の実力は今のところ未知数だ。
このキャンプとオープン戦によって正捕手争いの行方が示される。今後の正捕手争いに目が離せない。
文=矢上豊(やがみ・ゆたか)
関西在住の山本昌世代。初めてのプロ野球観戦は、今はなき大阪球場での南海対阪急戦と、生粋の関西パ・リーグ党。以来、阪急、オリックス一筋の熱狂的ファン。プロ野球のみならず、関西の大学、社会人などのアマチュア野球も年間を通じて観戦中。