「正力松太郎賞」とは、日本プロ野球の生みの親として知られる故・正力松太郎氏(元・読売新聞社社主)の功績を称えて創設された賞。プロ野球の発展に貢献した監督、コーチ、選手、審判員に贈られる栄誉で、今年は日本ハムを10年ぶりの日本一に導いた栗山英樹監督(日本ハム)が受賞した。
昨年はソフトバンクの工藤公康監督が受賞しており、近年は「日本シリーズの優勝監督に贈られる賞」という傾向が強くなっている。実際、2000年以降の受賞者は19人中17人が監督だ(1年で複数の受賞者がいる場合もあり)。
2000年以前は監督偏重の傾向は薄く、約半数が選手に贈られている。基本的にペナントレースのリーグMVPや日本シリーズMVPの選手が選出。そのなかでも2000年の松井秀喜(当時・巨人)、1997年の古田敦也(当時・ヤクルト)、1992年の石井丈裕(当時・西武)は、栄えあるリーグと日本シリーズ両方のMVPに輝いている。
ちなみに、選手と監督の両方の立場で受賞したのは王貞治氏(元・巨人、現・ソフトバンク球団会長)と工藤公康氏(元・西武など、現・ソフトバンク監督)、秋山幸二氏(元・西武など、前・ソフトバンク監督)の3名のみ。
そもそもこの賞は、王貞治氏が通算本塁打の世界記録更新となる756号を達成した1977年に創設され、王氏が初代の受賞者。なお、新記録達成による受賞者は、シーズン最多安打日本記録を達成した1994年のイチロー(当時・オリックス)、シーズン最多セーブ日本記録を達成した1998年の佐々木主浩(当時・横浜)の2名。
また、日本のWBC連覇となった2006年と2009年には、WBCの優勝監督としてそれぞれ代表を率いた王監督と原辰徳監督に贈られている。
王氏はこの賞を最多となる4回受賞しているが、受賞した際の立場も選手、チーム監督、WBCの優勝監督と多岐に渡っている。あらためて王氏のすごさがわかるというものだろう。
文=サトウタカシ (さとう・たかし)