開幕戦の延長11回裏、2点ビハインド、2死二、三塁。途中出場の川端崇義の打席で、宮崎が代打に送られた。結果はセカンドゴロでゲームセット。大事な開幕戦を落としてしまった。
この代打・宮崎の起用には、首をかしげるファンが多かった。「そのまま川端でよかったのでは?」「ほかに代打はいなかったのか?」と。それほど、宮崎が代打で結果を出すイメージを持てなかった。
4月8日の京セラドームでの日本ハム戦、宮崎は1番・中堅でスタメン起用された。これにはファンも驚いた。
しかし、宮崎はいきなり結果を出す。初回の第1打席で初球を叩いてレフトオーバーの二塁打を放ち、この一打をきっかけにチームは先制点を挙げる。4回には1死三塁で、これまた初球を狙いタイムリーヒット。この試合では2安打1打点の活躍を見せた。
翌9日の試合も、5回裏2死一、三塁のチャンスで遊撃手の後ろに落ちる、しぶといタイムリーヒットを放ち、先制点を奪った。結局、この得点が決勝点となり、宮崎はお立ち台に上がった。
宮崎のいいところは思いっきりのよさだ。ファーストストライクから積極的にスイングしていく。その積極性がチームの勢いを呼び込むのだろう。
また、宮崎はベンチでよく声を出している。チームを盛り上げるムードメーカーなのだ。
プロ入り7年目の30歳だが、これまで1軍に定着できずにいた。今シーズンの成績が悪ければ戦力外になると自覚して自主トレに臨んだ。キャンプは2軍で過ごし、オープン戦の出場も3試合だったものの、開幕1軍に登録された。
それが今や不動の1番打者として活躍している。打率.383、2本塁打、9打点。もうすぐ規定打席に届きそうだ。このまま順調にいくと打撃10傑に登場する可能性は十分ある。
好調・オリックスのリードオフマン&ムードメーカーとして、崖っぷちから這い上がった男、宮崎の活躍に要注目だ。
(成績は4月26日現在)
文=矢上豊(やがみ・ゆたか)
関西在住の山本昌世代。初めてのプロ野球観戦は、今はなき大阪球場での南海対阪急戦と、生粋の関西パ・リーグ党。以来、阪急、オリックス一筋の熱狂的ファン。プロ野球のみならず、関西の大学、社会人などのアマチュア野球も年間を通じて観戦中。