ここ2年、阪神2軍の注目度アップに大きく貢献した掛布雅之2軍監督の契約満了に伴い、今季まで1軍作戦兼バッテリーコーチを務めた矢野燿大氏が2軍監督に転身。金本知憲監督の貴重な懐刀から、文字どおり「虎の穴」の指揮官へ。若手を鍛え上げて1軍に送り込む重責を担うこととなった。
矢野2軍監督と金本監督は同い年で、現役時代も同じタテジマのユニフォームを着たチームメイト。そして、東北福祉大出身という共通点もある。金本監督が一浪したため、学年は矢野2軍監督がひとつ上。プロ入りも矢野2軍監督のほうが1年先輩ではあるが、気心は知れている間柄であることは間違いない。
2年間、1軍ベンチにいただけに、チームの現状は誰よりも把握しているはず。梅野隆太郎に続く捕手の育成、固定できる1番バッターの育成など仕事は山積だ。矢野2軍監督のもとからどんな若虎が現れるのか楽しみにしたい。
昨季の優勝から一気に5位に転落した日本ハム。こちらも戦力の底上げと整備が急務だが、体調不良により退団する田中幸雄氏に代わって、荒木大輔氏が2軍監督に就任することとなった。
早稲田実出身で甲子園アイドルだった荒木2軍監督は、ヤクルト、西武、横浜で現役生活を送ったあと、2004年から2007年まで西武で、2008年から2013年まではヤクルトで、おもに投手コーチとしての指導者経験を積んでいる。
栗山英樹監督とは、現役時代、ヤクルトで同じ釜の飯を食った仲。こちらも、お互いをよく知る者同士だ。
今季限りでの渡米がもはや既定路線化している大谷翔平だけでなく、FAなどによる主力メンバーの流出が囁かれている日本ハム。「去る者追わず」が常の球団経営方針を考えれば、抜けた穴を埋められるだけの若い芽が投打に渡って出てこない限り、チームの浮上は難しくなるだろう。荒木2軍監督の指導力、選手の力量を見極める目は非常に重要だ。
阪神と日本ハムでは状況が異なるとはいえ、過去10年のAクラス入りの回数は、阪神が6回、日本ハムが7回と、ともにリーグの上位常連球団だ。その1軍を支える新たな2軍監督が、どういった指揮官ぶりを発揮するのか。1軍との意思疎通も含めてしっかり機能するようなら、これ以上ない援軍となるだろう。その手腕に注目したい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)