3月30日の開幕から1カ月が経過したプロ野球。読者の方々は、贔屓チームの動向から目を離せない日々を過ごしていることだろう。週刊野球太郎では、ここまでの戦いぶりを見つつ、過去の序盤戦のデータと照らし合わせて優勝チームを予想していきたい。まずはパ・リーグだ。
開幕から8連勝をマークするなど、西武がスタートダッシュに成功した。9戦目で初めての敗戦を喫してから2連敗したものの勢いを持続。4月30日現在で19勝5敗、2位に5.5ゲーム差をつけ首位を独走している。
過去を振り返ってみると、西武が開幕から8連勝以上を成し遂げたのは、今シーズンが3度目(前身チームの西鉄時代を含む)。その年はどのような順位となっているのだろうか。
プロ野球記録になっている開幕からの11連勝を達成したのは、西鉄時代の1954年だった。球団創設5年目の西鉄は開幕から好スタートを切り、南海と激しい優勝争いを繰り広げた。
最終的な勝ち星は南海の91勝を下回る90勝だったが、勝率の差で初優勝を飾った。なお、3位の毎日には10.5ゲーム差をつけており、この年の終盤は西鉄と南海のマッチレースとなった。日本シリーズでは同じく、球団創設以来、初めての優勝を決めた中日と対戦。3勝4敗で日本一を逃している。
2度目の開幕8連勝を達成したのは1991年のことだった。1980年代後半からの黄金時代にあたる年だ。現在、チームの指揮を執る辻発彦監督は、二塁手としてスタメンを張っていた。
この時期の西武は、中軸に秋山幸二、清原和博、デストラーデが並ぶ強力打線が売りだった。ただし、それだけではない。1991年は投手陣も豪華な面々だった。「オリエンタル・エクスプレス」こと郭泰源がMVPに輝き、現在、ソフトバンクの指揮を執る工藤公康が最高勝率、渡辺智男が最優秀防御率と、投手陣にタイトルホルダーが並んだ。そして、この投手陣をリードするのが野球殿堂入りも果たした、前ロッテの監督・伊東勤。まさに投打に優れたチームだったと言える。
シーズンでは近鉄とデッドヒートを制して、4.5ゲーム差をつけてリーグ優勝。日本シリーズでは広島に4勝3敗で勝利し、日本一に輝いている。
サンプル数は少ないものの、西武が開幕8連勝以上を達成したシーズンはいずれもリーグ優勝を飾っている。果たして「二度あることは三度ある」だろうか。
全米でも大きな注目を浴びている「二刀流」の大谷翔平(エンゼルス)。毎日のようにテレビを賑わせており、その活躍ぶりは目を見張る。一方で投打にわたっての戦力が、大幅に削られることとなった日本ハムはどんな戦いぶりか1カ月間の戦いぶりを振り返ってみよう。
大谷の退団だけでなく、開幕投手候補の有原航平がキャンプ中の故障で出遅れるなど、日本ハムは台所事情の苦しさが予想されていた。開幕戦は新外国人のロドリゲスに先発を託したものの、3回途中8失点と大炎上。2対11と大敗すると、その後も調子は上がらず開幕カード3連敗を喫してしまう。
しかし、2カード目で3連勝をマークし勝率を5割に戻すと、その後は安定した戦いぶりを見せ、14勝11敗と2位につけている。大谷の穴を野手では近藤健介、中田翔ら、投手ではすでに完投を2つ記録しているマルティネスらが埋めている格好だ。
思い起こせば、ダルビッシュ有(カブス)がメジャーリーグ移籍を果たした2012年、新庄剛志、小笠原道大が退団した2007年と大幅な戦力減があったシーズンも日本ハムは大方の予想を裏切り、リーグ優勝を果たしている。
今シーズンも過去の例にならい「大物選手が抜けた翌年」ということで優勝を果たすことができるだろうか。
圧倒的な戦力を誇り、優勝候補筆頭と目されていたソフトバンク。今シーズンは工藤公康監督が就任4年目を迎えている。
前身の南海、ダイエー時代を含めて4年以上の監督を務めたのは過去5人。そのうち就任4年目で優勝を果たしたのは、プレーイングマネージャーだった1973年の野村克也ただひとりだ。
山本一人(1949年)、杉浦忠(1989年)、王貞治(1998年)、秋山幸二(2012年)の4人は、いずれも優勝を果たすことができなかった。山本、秋山は前年に優勝していたのだが……。
なお、2012年のソフトバンクは3位でクライマックスシリーズに出場し、ファーストステージを突破。しかし、ファイナルステージで敗退している。この年のファイナルステージを勝ち抜いたのは、ダルビッシュが抜けた日本ハムだった。今シーズンもクライマックスシリーズで、大谷の抜けた日本ハムと対戦することになるのだろうか。
開幕から好調ということもあり当然ではあるが、現時点では西武の優勝確率が高いように見える。前述した通り、開幕8連勝以上を果たした年の西武のリーグ優勝確率は100パーセントとデータも後押ししている。
果たして、歴史は繰り返すのか。
(※成績は4月30日現在)
文=勝田聡(かつた・さとし)