週刊野球太郎
中学、高校、プロ・・・すべての野球ファンのための情報サイト

ザトペック投法や、エンタイトルツーベース……。 プロ野球界でも薄れゆく「昭和的な情景」


 巷では最近、公衆電話や地上波テレビのお色気番組、一年中半袖の少年など、ふと気づくとめったにお目にかからなくなってしまったものが多々ある。時代は、状況に応じて移り変わるのが常。もちろん野球も例外ではない。

 科学的根拠に基づいた効率的な作戦や、ファンのニーズに対応した結果、平成の世においてめっきり減ってしまった球界の様々な場面を検証してみたい。

なくなりつつある球界の「昭和」


■ダイナミックな投球フォーム
 村山実のザトペック投法や、村田兆治のマサカリ投法、そして野茂英雄のトルネード投法など、聞くだけでその姿が目に浮かぶダイナミックな投球フォームが、最近では見られなくなった。現在は、牽制にも効果的なセットポジションが主流だ。

 日本ハムの大谷翔平は、セットポジションから160キロを叩き出すのだから、昔の投球フォームを参考にする投手が減るのも無理はない。今後は、もう子どもが簡単にマネできるような投球フォームは出てこないかもしれない。


■ワンポイントリリーフ
 現在、勝ちゲームの終盤イニングは、基本的に投手の配置が決まっているのが常識。リリーフ陣の層が薄いチームは、相手打者の左右によって2人以上の継投をする場合もあるが、強いチームほど「先頭から1人1イニング」だ。また、左投手を苦にしない打者が増えていることも、ワンポイントリリーフ衰退の一因といえよう。


■エンタイトルツーベース
 球場が狭く、外野フェンスも低かった昔はよくお目にかかったが、球場が広くなっている現在では、ワンバウンドのスタンドインによるエンタイトルツーベースは減少傾向にある。

 もっとも、一塁走者がいた場合、本塁に還れるかのスリルがなく、強制的に三塁ストップというのが興ざめなこの場面。観客席の増加で減少させようとしているファウルフライ同様、ファンのニーズに合わないのかもしれない。

■代打の専門職
 古くは高井保弘(阪急)に川藤幸三(阪神)、少し前では八木裕(阪神)のような、代打を専門とした職人が絶滅しそうになっている。もちろん昨季の小窪哲也(広島)のように、代打で好結果を残す打者はいるが、毎年ランキングされるような常連はいない。

 理由は、「投手の方程式」が主流となった現在、1軍登録選手における投手の割合が高まったためだ。必然的に野手にしわ寄せがおよび、ベンチには準レギュラークラスか、守備要員などを、最低限度しか置けなくなってしまった。代打は、その存在感で相手にプレッシャーをかける重要なポジションではあるが、「日々投手総動員」の波にのまれた格好といえる。


 生物学者のダーウィンは、「強い者、頭の良い者が生き残るのではない。変化するものが生き残るのだ」と言った。変化の結果、確かに現代の野球は、昔と比べて効率的で様々なリスクも減少している。

 今後も球界はさまざまな変革をしなければならないだろう。オールドファンには若干の寂しさが残るかもしれないが……。


文=サトウタカシ (さとう・たかし)

記事タグ
この記事が気に入ったら
お願いします
本誌情報
雑誌最新刊 野球太郎No.32 2019ドラフト直前大特集号 好評発売中
おすすめ特集
2019ドラフト指名選手一覧
2019ドラフト特集
野球太郎ストーリーズ
野球の楽しみ方が変わる!雑誌「野球太郎」の情報サイト
週刊野球太郎会員の方はコチラ
ドコモ・ソフトバンク
ご利用の方
KDDI・auスマートパス
ご利用の方