DeNAの現球団社長である池田純社長は、就任以来、地元密着型の球団運営に特化し「I ☆ YOKOHAMA(アイラブヨコハマ)」をスローガンに掲げた。横浜市民や神奈川県民を巻き込んだ施策を敢行し、ことごとく功を奏している。その結果、現在チームは最下位にもかかわらず、観客の動員は右上がりの状態だ。
この現状と、横浜高出身選手の多さがリンクして、出身者の多い選手登用は、その施策の一環であるかのように解釈されている節もある。
しかし、球団が地元密着を強化しているかといって、地元高校出身の選手が多く獲れるか、答えはもちろんノーである。ドラフトで指名しても、くじ引きや交渉で確実に獲得することは不可能。また現状の在籍メンバーには、他球団を経験した後に地元・横浜に戻ったメンバーも多いのだ。
昨夏、その職を退いた横浜高の渡辺元智監督が就任した1968年以降、大洋ホエールズ時代に遡っても、横浜高からホエールズに在籍した選手は20人近く、やはり他球団と比べると格段に多い。
しかし、横浜高出身選手の中で、DeNAに在籍していない大物選手も少なくない。渡辺監督の教え子の代表格といえば、当時ロッテオリオンズに入団した愛甲猛。そして忘れられないのは「怪物」松坂大輔である。特に松坂についてはメジャーから帰国する際に、ベイスターズファンは入団を期待した。
横浜は国内外の人々にとって観光名所でもあり、また地元への郷土愛を表明する著名人も多い土地柄。プロ野球選手にとっても同様であり、さら名将・渡辺監督の率いた名門横浜高が横浜を代表する高校野球チームであり続けたことがDeNAに横浜高の選手が集まってくる理由になっているのだろうか。
文=元井靖行(もとい・やすゆき)