いよいよ開幕した夏の甲子園。今年はどんな名勝負が繰り広げられるのか興味が尽きない。選手のなかには、将来プロ野球で活躍する選手がいるので、ドラフトマニアも目が離せない。
今回の週刊野球太郎では、高校時代に甲子園で激突したことのあるプロ野球選手たちを紹介する。
■第81回 センバツ(2009年)
清峰(長崎) 対 花巻東(岩手)
今季からメジャーリーグに挑戦している菊池雄星(マリナーズ/当時花巻東)と赤ヘルのブルペンを支える今村猛(広島/当時清峰)の投げ合いとなった2009年センバツの決勝戦。どちらも勝てば初優勝という一戦は1対0の息詰まる投手戦となり、勝利したのは清峰と今村だった。
今村はこの大会で5試合に登板し、44イニングで47奪三振、4完投、3完封、1失点、防御率0.20。春の優勝投手にふさわしい圧巻の投球を見せた。
■第91回 夏の甲子園(2009年)
花巻東(岩手) 対 長崎日大(長崎)
2009年のセンバツで惜しくも優勝を逃した花巻東ナイン。同年、夏の甲子園一回戦で待ち受けていたのは、奇しくも長崎大会で清峰を倒して勝ち上がってきた長崎日大だった。
長崎日大のエースは、今や赤ヘルのエースに駆け上がった大瀬良大地(広島)。菊池と大瀬良というこれまた豪華な対戦は、試合こそ8対5で花巻東が勝ったものの、2人の投げ合いとしては5回無失点に抑えた大瀬良に軍配が上がった。
■第87回 夏の甲子園(2005年)
駒大苫小牧(南北海道) 対 大阪桐蔭(大阪)
2005年、2年生・田中将大(ヤンキース)の活躍もあり、夏の甲子園連覇に向けて歩みを続けていた駒大苫小牧。準決勝で激突したのは、準々決勝で3本塁打を放ち、1試合最多本塁打記録をマークした平田良介(中日)擁する大阪桐蔭だった。
終盤に追い上げられたものの、駒大苫小牧は6対5の接戦を辛くも制して勝利。ファンが固唾をのんだ田中と平田の対戦は、3打数無安打2奪三振と田中が圧倒した。なお、駒大苫小牧はこの夏、2連覇を達成した。
■第88回 夏の甲子園(2006年)
早稲田実業(東京) 対 大阪桐蔭(大阪)
2006年夏、“ハンカチ王子”として優勝に貢献。駒大苫小牧・田中から甲子園の主役の座を奪った早稲田実の斎藤佑樹(日本ハム)。大会制覇に至る2回戦では、後のチームメイトとなる中田翔(日本ハム)と対戦した。
平田たちが卒業した後の大阪桐蔭を背負って“平成の怪物”と呼ばれる強打者に成長した中田だったが、あの夏の斎藤のボールは打つことができず4打数無安打3三振と散々な結果に終わった。
■第92回 夏の甲子園(2010年)
履正社(大阪) 対 天理(奈良)
履正社に夏の甲子園初勝利もたらしたのは、ミスタートリプルスリーこと山田哲人(ヤクルト)の世代。その白星を献上した相手が、中村奨吾(ロッテ)擁する天理だった。
両者ともに3番で出場し、山田が3打数2安打1四球と活躍。中村も3打数1安打1打点と負けじと打ち返すが、投手戦となった試合は4対1で勝負あり。プロでも山田が先んじているだけに、中村もここから巻き返したい。
■第94回 夏の甲子園(2012年)
大阪桐蔭(大阪) 対 済々黌(熊本)
■第85回 のセンバツ(2013年)
済美(愛媛) 対 済々黌(熊本)
育成ドラフト4位から這い上がり、今や鷹の先発陣の一角を占めるまでになった大竹耕太郎(ソフトバンク)。済々黌時代は2度甲子園に出場しているが、いずれも3回戦の壁に阻まれた。
1度目は2012年夏の甲子園で、藤浪晋太郎(阪神)と森友哉(西武)の黄金バッテリー擁する大阪桐蔭に2対6で敗退。ちなみに大竹と森の対決は、5打数3安打1本塁打で森が圧倒した。
2度目は2013年のセンバツ、済美戦。1学年下の安樂智大(楽天)との対決は、奪三振では大竹(11個)が安楽(8個)を上回るも、8回に4本の長短打を浴びたことで万事休す。1対4で大竹は、またも3回戦で甲子園を去った。
今をときめくスターたちが多数激突してきた甲子園。その戦いを振り返ると夢舞台と言われる所以を垣間見ることができる。
ちなみに地方大会に目を向けると神奈川が熱く、桐光学園時代の松井裕樹(楽天)は1年夏の神奈川大会で茂木栄五郎(楽天)の桐蔭学園、近藤健介(日本ハム)や乙坂智(DeNA)、柳裕也(中日)らタレント揃いの横浜と立て続けに対戦していた過去を持つ。
また横浜の筒香嘉智(DeNA)は1年のときに東海大相模の3年生・菅野智之(巨人)と対戦。4打数2安打と力のあるところを見せつけた。
できれば地方大会も含め、聖地での“スター選手の原石”同士の対決をしっかりと見届けたい。まもなく幕を開ける夏の甲子園で、野球の未来につながる一投一打に目を凝らしたい。
文=森田真悟(もりた・しんご)