6月には大学選手権、7月には都市対抗野球とビッグイベントが控えている。今秋のドラフト指名を目指す選手達たちは本大会に向けた各地のリーグ戦や予選でアピールを繰り広げている。そんなドラフト候補のなかで、特に目玉候補と目されている大学生・社会人の野手は今春、どのような結果を残してのか。前回の投手編に続き、今回は野手をピックアップ。
今年、プロ野球の世界においてもっとも不足しているのが「打てる捕手」。毎年のようにドラフトで「打てる捕手候補」がプロ入りを果たすが、プロの壁は厚く、なかなか期待されるような結果を残すことができていない。しかし、今年はその壁を打ち破ってくれそうな選手が控えている。亜細亜大の頓宮裕真だ。
岡山理大付高から亜細亜大に進学した頓宮は1年春から試合に出場するほど期待をかけられていたが、2年時までは打撃面で結果を残すことができず、苦しいシーズンを送っていた。その打撃が開花したのは昨年のことだ。
昨春のリーグ戦で打率.386、3本塁打を記録しベストナインに選出。ドラフト候補として名前が知られるようになった。昨秋のリーグ戦でも打率.313と3割をキープし、春の活躍がフロックではないことを証明する。そして、今春は初戦からエンジン全開。2打席連続本塁打を放つなど7打点の活躍を見せると、打率.306、5本塁打、15打点を記録。チーム事情で一塁の守備につくこともあるが、「4番・捕手」としてチームを引っ張っている。
山崎康晃(DeNA)、薮田和樹(広島)、松田宣浩(ソフトバンク)らプロで実績を残している亜細亜大の先輩たちに続きたい。
2年秋(2016年)のリーグ戦で3本塁打を放ち、2年生ながら「明治神宮外苑創建90年記念奉納試合」の東京六大学選抜メンバーに選ばれた法政大の中山翔太。
あれから2年、中山はドラフト候補としてしっかりと成長してきた。今春のリーグ戦でも打率.380、1本塁打、8打点と結果を残している。三振の数は50打席でわずか4つ。フルスイングが売りの選手ながらコンタクト能力に磨きがかかってきた。チームは下位に沈んだため、大学選手権への出場はできないが、秋のリーグ戦、そしてドラフトへ向けトレーニングに励む。
輝かしい歴史を誇りながら、休部状態となっているPL学園高にとって最後のドラフト指名選手となるかもしれないのが、東洋大の中川圭太だ。
中川は、二部在籍中の1年春(2015年)からレギュラーを獲得。1年秋には打率.340をマークし、チームの一部昇格に貢献。以降もチームを引っ張ってきた。昨シーズンは春秋ともに二塁手としてベストナインに輝き、日米野球、ユニバーシアードの侍ジャパン大学代表にも選ばれた。ユニバーシアードでは打率.500、1本塁打、13打点で首位打者、打点王を獲得するなどの実績を残している。
今シーズンは主将として打率.318、2本塁打、9打点とまずまずの数字を残しており、注目度は高い。
中川は多くの名選手を生んだPL学園高の最後のプロ野球選手となるのだろうか。
今春のリーグ戦で4季ぶりの優勝を飾った立命館大。そのチームを引っ張ったが2年時から侍ジャパン大学代表に名を連ねる辰巳涼介だ。昨秋までに83安打を放っている辰巳は、今春、史上28人目となる100安打を目指して開幕を迎えたなか、順調に安打を重ね、5月20日の近畿大戦で100安打を達成。リーグ優勝も同時に果たした。
今シーズンは大学でのキャリア最高打率.450を記録しており、その成長ぶりは著しい。次は大学日本一を獲りに神宮球場へ乗り込み、全国の舞台でドラフト候補として存在をアピールしたい。
2016年ドラフドで注目されながら、社会人野球の東京ガス入りを選んだ笹川晃平(当時、東洋大)。笹川は大学最後のリーグ戦で二冠王(首位打者、最多本塁打)を達成したが、3年春(2015年)から4年春のリーグ戦において結果を残すことができず、プロ志望届を提出しなかった経緯がある。
東京ガスで2年目となった今年、春のスポニチ大会。2戦目の日本新薬戦では1発こそ出なかったが、3安打、3打点の活躍。都市対抗野球大会・」東京都一次予選のゴールドジム戦では適時打を放つなど、結果を出した。
大谷翔平(エンゼルス)、鈴木誠也(広島)ら大活躍している同級生に、笹川も続きたいところ。そのためには4番としてチームを都市対抗野球に導き、本大会でもさらなる結果を出したい。
(※成績は5月28日現在)
文=勝田聡(かつた・さとし)