年俸払いすぎ? 悪コスパ・ベストナインを大発表!
【この記事の読みどころ】
・高年俸にもかかわらず、期待を裏切った選手をベストナイン形式で発表
・明らかに年俸が高かった中島裕之
・相次ぐ大物選手の退団や引退は、コスパ面でも実証
まだポストシーズンが控えているというのに、早くも来季の監督・コーチ人事が動いている。結果が出なければ責任をとらなければならないのが勝負の世界。
ただ、真に責任を負うべきは監督なのか? 首脳陣の期待に応えられなかった主力組にもその責はあるはずだ。その年俸に反して、思うような数字を残せなかった「悪コスパ・ベストナイン」を選定してみたい。
悪コスパ・ベストナイン
(投)内海哲也・巨人(33歳・12年目・4億円)
(捕)谷繁元信・中日(44歳・27年目・9000万円)
(一)阿部慎之助・巨人(36歳・15年目・5億1000万円)
(二)西岡剛・阪神(31歳・11年目・1億8000万円)
(三)村田修一・巨人(34歳・13年目・3億円)
(遊)中島裕之・オリックス(33歳・13年目・4億円)
(左)内川聖一・ソフトバンク(33歳・15年目・3億円)
(中)坂口智隆・オリックス(31歳・14年目・7500万円)
(右)多村仁志・DeNA(38歳・21年目・4600万円)
(指)セペダ・巨人(35歳・2年目・1億5000万円)
※西岡、中島、セペダの年数はNPBのみ
5年前であれば、「これが今年のベストナインです」と発表されても疑われないほどの豪華メンバーが並んだ。まさに栄枯盛衰のプロ野球だ。
今回挙げたメンバーのうち、まず内川は少し意味合いが異なるだろう。彼の場合は今季も不動のレギュラーとして活躍。さらには主将としての責務を加わり、リーグを制したチームの精神的支柱として「年俸分の働きはした」と見ることもできるはずだ。ただ、7年連続で続いていた打率3割をキープできなかったことなど、個人成績で若干数字の下落が見られたことで、今回「悪コスパ」として名前を挙げた。
それ以外のメンバーは、「年齢による数字の衰え」と「怪我などによる出場機会の減少」の2つの考察ができるだろう。谷繁、多村の2人は前者。右肘内側側副靱帯を損傷した西岡や肘痛に悩まされた坂口は後者といえるが、その他のメンバーは両方の側面があるだろう。
米国帰りの選手たちの高年俸
また、中島裕之のように「年俸が明らかに高すぎた」という事例も考えものだ。怪我の影響もあったとはいえ、かつての最多安打男が100安打、10本塁打では、とても年俸に見合った数字とは言えない。
中島に限らず、これまでもアメリカ挑戦した選手が帰国する際、NPB在籍時と比べて年俸が高騰する事例が相次いでいる。だが、その金額に見合った成績を残した選手は正直見当たらない。今回、1軍登板数が0のために選から漏れた松坂大輔も同様だ。「球団経営の健全化」という視点からも、アメリカ帰りの選手たちに対しての不用意な年俸高騰は一考していく必要があるだろう。
いずれにせよ、深刻なのが内海・村田・阿部・セペダと4選手も名前の挙がった巨人だ。仮にポストシーズンで奮起したとしても世代交代は必須。想定外の捕手復帰の影響で怪我をしてしまった阿部はともかく、内海・村田はまだまだ老け込む年齢ではないと思うのだが……。
そして巨人以外でも、今季は一時代を築いた選手たちの引退が相次いでいる。球界が世代交代の過渡期であることを、コスパ面でも実証したといえるかもしれない。
文=オグマナオト(おぐま・なおと)
1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」、「AllAbout News Dig」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』(新紀元社)では構成を、『漫画・うんちくプロ野球』(メディアファクトリー新書)では監修とコラム執筆を担当している。近著に『福島のおきて』(泰文堂)。Twitterアカウントは@oguman1977(https://twitter.com/oguman1977)
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