「宣言」が大きく取り沙汰されるFAだが、球団にとっては「非行使」「残留」ほど心強いものはない。残ってくれるだけでチーム力が維持できるし、残留した選手は「このチームで優勝したい!」といった強い志を持って残るので、チームメイトへ好影響をもたらしてくれるからだ。
そして昨年のオフは、主にこの4人が逡巡の末にチーム残留を決断した。改めてその選手たちをチェックしていこう。
かつては「メジャーリーグに興味がない」という発言をしていた松田が、昨年オフに突如海外FA権を行使。誰もが驚いたが、年齢的にラストチャンスなだけに、「自分の評価を聞きたい」という気持ちに正直に生きた結果だったのだろう。
打点王を獲得し、チームを14年ぶりの優勝に導くなど、昨年は畠山のプロ野球人生の中でも最高の1年に。
そして、その年にFA権を獲得。まさに“売り時”だったことから動向が注目されていたが、畠山いわく「いろいろ考えた結果」残留することとなった。
侍ジャパンのキャプテンを務めながら、チームでは控えに甘んじることもしばしばあった嶋。それだけに複数年契約の最中ではあるが、途中で破棄できるという条項が盛り込まれているとされていたことから、ついに移籍か? と思われたが、フタを開けれてみれば残留。
確執がささやかれた大久保博元監督が退団したことに加え、嶋を重用してチームを日本一に押し上げた星野仙一シニアアドバイザーが球団副会長になり、チーム改革を進めたことも残留を後押ししたのだろう。
かつては“守備の人”だったが、ここ3年は打撃でもコンスタントに成績を残した藤井。チームに必要な選手になってきた、という自負が芽生えた中で、FA権を取得したものの、当初球団からは特に引き止め要請らしい話はなかった。
そんな球団の態度に業を煮やした藤井は、FA宣言を視野に入れる。しかし谷繁元信監督の「必要な選手」という言葉が、藤井の気持ちを一気に残留へ傾けた。