メジャーリーグ球団がWBCにさほど協力的でない事情もあって“ドリームチーム結成”とはいかず、過去3大会で優勝、準優勝の経験がないアメリカ。
今大会も3度のサイ・ヤング賞に輝く左腕、クレイトン・カーショー(ドジャース)が代表チームに不参加。2015年にシーズン2度のノーヒットノーランを記録し、昨季はサイ・ヤング賞を受賞したマックス・シャーザー(ナショナルズ)も故障により辞退。
メジャーリーグを代表する2投手を欠くなど、今回も最強メンバーとは言い難い。しかし、それでも素晴らしい選手が顔を揃えている。
注目したいのは、守備の要となる捕手のバスター・ポージー(ジャイアンツ)だ。2009年にメジャーデビュー。2010年に一気に頭角を現し、正捕手の座をつかむと打率.305、18本塁打の結果を残し、新人王を獲得。チームをワールドシリーズ制覇まで導いた。
2011年にはクロスプレーで選手生命を危ぶまれるほどの大ケガを負ったが、2012年に復帰。以降も正捕手ながら4番に座る大黒柱としてチームを牽引している。私生活でも双子のパパで子煩悩。強打者が揃う代表チームでは下位打線を打つことが予想されているが、非の打ち所がないスーパーキャッチャーだ。
2012年にメジャーリーグで45年ぶりとなる三冠王に輝いたミゲル・カブレラ(タイガース=写真)がチームを引っ張るベネズエラ。代表合宿とは別に、カブレラが代表のチームメートを集め自費合宿をするほど気合が入っている。
そのベネズエラでもうひとり注目したいのはホセ・アルトゥーベ(アストロズ)だ。日米野球でも来日しているアルトゥーベは、2014年から3年連続で200安打を達成。昨シーズンは自身2度目の首位打者にも輝いている。
身長168センチと小柄ながらパワーがあり、2015年は15本塁打、昨シーズンは24本塁打と本塁打数を増やしている。また、昨シーズの打率は.338で盗塁数は30個。今シーズンはトリプルスリーも射程圏内だ。今シーズンから青木とチームメートとなるため、日本の野球ファンがメジャーリーグ中継でアルトゥーベのプレーを見る機会も多くなるだろう。
2013WBCの準決勝で、日本を3対1で下したプエルトリコ。今回も元ヤクルトのオーランド・ロマン(Lamigoモンキーズ)が代表入りを果たした。これで4大会連続の出場となり、ベテランとしてチームをまとめることだろう。
プエルトリコの注目選手はやはり捕手のヤディアー・モリーナ(カージナルス)。2013WBCで日本の前に立ちはだかった“プエルトリコの頭脳”だ。
そのときの対戦では、8回、二塁走者・井端弘和(中日)と一塁走者・内川聖一(ソフトバンク)の走塁ミス(重盗失敗)の際にも慌てて送球せず、内川聖一(ソフトバンク)を一、二塁間に追い詰めて自らタッチ。冷静なプレーで、追い上げムードに乗りかけていた日本を意気消沈させた。
34歳とベテランの域に達しているが、昨シーズンは4年ぶりに打率3割をマーク。存在感はピカイチだ。今大会でも対戦することになれば“プエルトリコの頭脳”には用心してかかりたい。
2013WBCの覇者・ドミニカは今大会もトッププレーヤーの出場が決定。ダルビッシュ有の所属するレンジャーズの三塁手、エイドリアン・ベルトレ、田中将大の所属するヤンキースのセットアッパー、デリン・ベタンセスら、日本で名を知られる選手も名を連ねている。
なかでも注目したいのはエース格のジョニー・クエト(ジャイアンツ)だ。独特なトルネード投法から繰り出されるフォーシーム(ストレート)、スライダー、チェンジアップで三振の山を築く。トルネードをする際に身体を揺さぶるなど、日本では見られないフォームで投げることもある。
昨シーズンは18勝を挙げ、マディソン・バムガーナーとともにジャイアンツ2枚看板として君臨。今大会でも、昨シーズン同様の勢いに乗ったトルネード投法でWBC連覇を目指す。
文=勝田 聡(かつた・さとし)