高校野球の“イマ”をググっとクローズアップしていく「高校野球最前線」。特に今年の夏の甲子園は100回大会という節目を迎えることで、例年以上に注目度は高まっている。
「週刊野球太郎」では高校野球の最前線の動向を盛りだくさんでお届けする。
6月3日に行われた近畿大会決勝は、大阪桐蔭対智辯和歌山というセンバツ決勝と同カードになった。結果は、センバツのリベンジに燃える智辯和歌山を3対1で振り切り、大阪桐蔭が2年連続で春季近畿大会優勝を飾った。
大阪桐蔭でMVPといっていい活躍を見せたのは、打っては勝ち越し適時打、投げては1失点完投の根尾昂。全国大会決勝レベルの大一番でのこの活躍ぶりは、実力が超高校級を飛び越えて異次元にあると思わされる。
一方、智辯和歌山は初回に先制点を挙げてペースをつかみかけたが、後が続かず2回以降は無得点。逆転を喫した。これで大阪桐蔭に公式戦5連敗となったが、高島仁監督以下、ナインはこの敗戦を夏への糧にしたい。
中国大会は6月4日に広島新庄と下関国際による決勝が行われ、広島新庄が8対2で勝利。2回目の出場で初優勝を飾った。
広島新庄は先発した2年生の桑田孝志郎とバトンを継いだ3年生のエース・竹邊聖悟が、計10安打されながらも2失点の粘り強い投球を披露。打線の援護の呼び水となり、夏につながる1勝をつかんだ。
広島新庄と言えば田口麗斗(巨人)、堀瑞輝(日本ハム)など代々好投手を輩出しているが、2人が先輩に続くか楽しみなところ。
また、中国地区のドラフト目玉候補・引地秀一郎を擁する倉敷商は、準決勝で広島新庄と激突し、1対3で涙を飲んだ。
引地は1回戦からの連投を危惧してか、広島新庄戦では継投で1イニングだけの登板。本番の夏はまだ先なので、ここで無理しなかったことを夏の好結果につなげたい。
各県の上位3校が集い、18校で争われる東北大会は、6月7日から青森を舞台に行われる。
センバツ出場組では聖光学院(福島)や花巻東(岩手)がしっかりと勝ち上がってきた。
センバツ出場で一歩先を進むライバルを倒すべく他校も奮闘しているが、そのなかで注目したいのは八戸学院光星(青森)、弘前東(青森)、明桜(秋田)。
八戸学院光星には好投手の福山優希、弘前東には「津軽の大砲」と呼ばれるスラッガー・桜庭佑希也、明桜には昨夏の甲子園に4番として出場した山口航輝らプロ注目の好選手が揃っており、激戦の大会模様が予想される。
どこまでいっても話題が尽きない高校野球。源泉のように次から次に好選手があふれ出してくるのは、甲子園という舞台があるからにほかならない。
部活動の枠を超えて文化になっているのも、今夏に100回大会を迎えるように長い歴史があってこそのものだ。
これからも甲子園は球児の目標であり続ける。そんな聖地があるからこそ、彼らも頑張れる。
文=森田真悟(もりた・しんご)