2019年シーズン、ロッテは最終盤までCS進出を目指して争ったものの4位に終わる悔しいシーズンとなった。そんななか、若手投手陣の活躍が希望の光となった。
そのロッテの今シーズンを中心とした、ここ数年の編成を本誌『野球太郎』の持木編集長とカバティ西山に話を聞きながら、「日本人選手獲得」「外国人選手獲得」「育成状況」のカテゴリーごとに採点してみた。
(※「日本人選手獲得」「外国人選手獲得」は2018年オフから2019年シーズンが対象)
ロッテはドラフト1位で藤原恭大を指名。高卒野手ということもあり、即戦力とはならなかった。ただ、開幕から1軍で6試合に出場したのは、今後に向けて、大きな経験になったことだろう。
2位の東妻勇輔と3位の小島和哉ら大学生組はまずまずの活躍。とくに小島は、シーズン終盤は先発ローテーションを任され3勝をマーク。来季に向け大きくアピールした。
ドラフト以外での日本人獲得選手は丸佳浩(現巨人)の争奪戦に敗れたこともあり、大きな補強はなかった。ベテランの細川亨は31試合の出場を果たしたが、シーズン途中のトレードで加入した石崎剛は結果を残すことができなかった。
全体的に見ると、2019年シーズンの新戦力としては厳しい結果となっている。しかし小島や、高卒選手たちは来季の活躍に向けた土台作りをしっかりと行えたのは光明だ。
持木編集長は「多くの人は藤原がどのくらい活躍できるのかと注目していたでしょうね。でも、高卒1年目ですから、これからに期待です。3位の小島は、即戦力となることを求められる1、2位指名選手よりは期待度が低かったかもしれませんが、よく頑張ったと思います」と検討を評価しつつ、実は高卒ながら藤原に対する期待が大きかったのではないかと話した。
■ロッテの日本人選手獲得/2018年ドラフト
1位:藤原恭大(外野手/大阪桐蔭高)
6試合/打率.105(19打数2安打)/0本塁打/2打点/0盗塁
2位:東妻勇輔(投手/日本体育大)
24試合/3勝2敗7H/21回/奪三振16/与四球13/防御率4.71
3位:小島和哉(投手/早稲田大)
10試合/3勝5敗/54.1回/奪三振45/与四球20/防御率4.31
4位:山口航輝(投手/明桜高)
1軍出場なし
5位:中村稔弥(投手/亜細亜大)
10試合/1勝1敗3H/25回/奪三振21/与四球8/防御率4.32
6位:古谷拓郎(投手/習志野高)
1軍出場なし
7位:松田進(内野手/Honda)
3試合/打率.200(5打数1安打)/0本塁打/1打点/0盗塁
8位:土居豪人(投手/松山聖陵高)
1軍出場なし
◇育成
育成1位:鎌田光津希(投手/徳島インディゴソックス)
1軍出場なし
■ロッテの日本人選手獲得/その他
細川亨(捕手) ※楽天を戦力外
31試合/打率.333(6打数2安打)/0本塁打/1打点/0盗塁
茶谷健太(内野手) ※ソフトバンクを戦力外
1軍出場なし
石崎剛(投手) ※阪神からトレード
2試合/0勝0敗/2回/奪三振0/与四球1/防御率9.00
ロッテはシーズン開幕前に4人、シーズン途中に1人と合計5人の外国人選手を獲得した。
もっとも戦力となったのはレアードだろう。日本ハムでの実績はやはり本物。移籍初年度から32本塁打を放ち、チームの本塁打アップに大きく貢献した。大砲候補として期待されたバルガスは陽気なキャラクターで愛されたが、結果を残すには至らなかった。
その結果、シーズン途中にはマーティンを獲得。マーティンは52試合の出場で14本塁打と長打力を発揮した。また、守備ではレーザービームも随所に見せるなど、一定の貢献ぶりを見せている。
レイビンとマンの投手陣は苦しんだ。特に守護神候補としての期待がかかっていたレイビンはわずか2試合の出場。戦力とはならなかった。
レアードは想像通りの活躍を見せたが、ほかの新外国人選手は機能せず、結果としてシーズン途中に新たな外国人の獲得をせねばならなくなった。そのため全体的にはマイナスとなってしまう。
持木編集長は「バルガスに代打を出したりしてましたよね? これでいいのか…と。レアードは日本ハム時代と変わらない働きぶり。予想通りというか。ただ、順位を大きく上げる要因にはなりませんでした。レアード効果でAクラスに入ったりしてればよかったのですが」とAクラスに入ることができなかった点が引っかかるようだ。
カバディ西山は「レアードは本拠地が札幌ドームからホームランラグーンが新設されたZOZOマリンに変わって、成績が上がるか、と思いきや、最終的には例年と同じような数字に落ち着いてしまい、(採点的に)加点するような活躍ではなかったですよね。レアードのおかげでチームの本塁打数は増えましたけど…」とやはり厳しい評価になっている。
■ロッテの日本人選手獲得/その他
レイビン(投手)
2試合/0勝0敗/1.2回/奪三振1/与四球3/防御率27.00
マン(投手)
14試合/0勝2敗3H/16回/奪三振20/与四球12/防御率3.94
バルガス(内野手)
35試合/打率.179(84打数15安打)/1本塁打/6打点/0盗塁
レアード(内野手)
139試合/打率.248(487打数121安打)/32本塁打/89打点/0盗塁
マーティン(外野手)
52試合/打率.232(194打数45安打)/14本塁打/39打点/3盗塁
種市篤暉、岩下大輝といった高卒の下位指名選手が育ってきた。とくに高卒3年目の種市は規定投球回にこそ到達しなかったものの、先発ローテーションに入り、8勝2敗、防御率3.24と結果を残している。
一方、野手陣では平沢大河が苦しんでいる。2020年シーズンは高卒5年目となる。そろそろ1軍での結果がほしい。安田尚憲と藤原恭大もホップ・ステップ・ジャンプの「ステップ」の活躍が望まれる。
持木編集長は「野手は平沢、安田、藤原を1位で指名したように、育てていきたいという意気込みは感じられます。ただ、現状では目に見えた成果が現れていないといったところでしょうか。投手陣は種市や岩下がいますし、順調と言えるのではないでしょうか」と野手陣の奮起を求めている。
ロッテはここ数年、ドラフト1位で高卒の有望株を多く獲得している。彼らの育成がうまくいうかどうかが今後のカギを握る。
文=勝田聡(かつた・さとし)