九州の各県ではひと足先に春季大会が終了。ドラフト候補を擁しながら苦戦するチームがちらほらと見受けられたなかで、しっかりと結果を出したのが聖心ウルスラ学園(宮崎)と明豊(大分)だ。
聖心ウルスラ学園には昨年の夏の甲子園出場の原動力となった右腕・戸郷翔征が春季宮崎県大会で無失点の好投。明豊は昨夏の甲子園で15打数9安打、9打点、2本塁打を放った濱田太貴が健在で、この大分県大会でも8安打、9打点と大当たり。両校ともしっかりと優勝を勝ち取った。
2年連続夏の甲子園出場をかけてこの勢いを持続していきたい。
四国も各県の春季大会が終了。香川、愛媛、高知は先のセンバツに出場していたチームがいたため、県大会決勝戦のあとにセンバツ出場校を交えた順位決定戦が行われた。
高知では決勝戦後の1次予選決勝でセンバツ出場校の明徳義塾と高知が戦い、明徳義塾が勝利。その後、県大会優勝の高知商を順位決定戦で破り、センバツ出場校の貫禄を見せた。しかし、香川は大手前高松が英明を11対8、愛媛は聖カタリナ学園が松山聖陵を9対2とそれぞれセンバツ出場校を破り、春を勝ち上がってきた勢いを見せつけた。
“春の大舞台”を経験したセンバツ出場校は夏に向けても一歩リードというイメージだが、まだまだ予断を許さない。
本州の春季大会はまだ3回戦くらいまでを消化した県が多く、大会の行方はまだまだこれから。とはいえ、大阪ではセンバツ優勝の大阪桐蔭が16対2で精華を下し、油断など微塵も感じさせないスタートを切った。この勢いで夏の頂点まで駆け抜けそうだが、最強チームを止める高校が現れるか。
一方、広島では県内きっての名門で昨夏の甲子園準優勝の広陵が2回戦で敗れる波乱。夏のシード権を失った。何が起こるかわからない高校野球の怖さを見せつけられた。昨夏の甲子園でも登板した右腕・森悠祐、好打者の吉岡広貴らプロ注目の選手もいるだけに、夏に向けて巻き返したい。
北海道、東北など、まだ開催前の県もあり、まだまだ楽しみが残っている春季大会。強豪が力を誇示するのか、それとも新興勢力が現れるのか。
また、府県大会上位勢は地区大会に向かう。ここで見られるドラマを思うと今から胸が高鳴る。こうした高ぶりを感じるのも、やはり逸材揃いと言われる“ミレニアム世代”の存在もあるからだろう。
夏の甲子園第100回大会というメモリアルな舞台に立ち会える巡り合わせに感謝しながら、その頂点までの道のりを満喫したい。
文=森田真悟(もりた・しんご)