プロ野球で交流戦が始まったのは2005年。今年で13年目を迎える。
開催の運びとなった経緯には、前年に起こったいわゆる「球界再編騒動」も深く関わっていると見られる。オリックスと近鉄の球団合併に端を発し、10チームによる1リーグ制もささやかれたこの騒動で、プロ野球人気は低迷しかかった。そこで人気を再燃させる狙いもあったのだろう、という見立てだ。
ともあれ、球界再編騒動を経て生まれた楽天が2005年にパ・リーグに参戦し、現行の12球団となってからは、交流戦は毎年恒例の人気イベントだ。
開催初年度から日本生命がスポンサードしており、2013年までは賞金5000万円が優勝チームに贈られた(2014年からは3000万円)。2015年からはリーグ対抗戦の様相が強くなったため、勝ち越したリーグの6チームに、通算勝利数に応じて賞金が分配されている。
その内訳は勝利数1位が1000万円、2位が500万円、3位が400万円、5位が200万円、6位が100万円。また、最高勝率チームに500万円が贈られる。
対戦形式は何度かマイナーチェンジをしており、当初の36試合から24試合、現行の18試合と試合数は減少傾向にある。
ただ、これは毎年続ける上で、マンネリ化を防ぐ意味でも必要なことだと筆者は思う。同じカードでも基本は1年ごとに、ホームゲームとビジターゲームが交互に行われるからだ。
また、交流戦限定でルールを設ける年もあった。開催10周年となった2014年には「指名打者(DH)制度」が、普段採用しているパ・リーグのチームのホームゲームではなく、セ・リーグのチームのホームゲームに採用する試みも行われた。
これは完全にパ・リーグの方が強い。過去12回の合計勝敗数でみると、パ・リーグが925勝、セ・リーグが821勝と、パ・リーグの勝ち星がおよそ100勝多い(引き分けは54試合)。
また、パ・リーグはロッテ、日本ハム、ソフトバンク、オリックスの4チームが頂点に立った経験を持つが、セ・リーグで頂点に立ったことがあるのは巨人だけだ。
理由はさまざま考えられるが、「普段、投手が打席に立つセ・リーグと違い、パ・リーグは指名打者を含めた野手9人での攻撃に慣れている」「ここ10年前後で“スーパーエース”と呼ばれる逸材がそろってパ・リーグに入り、力量差を見せつけられるため」というのはよく言われる。
先述の「◎疑問3」の答えにある通り、パ・リーグ勢の優勢にあって、特にソフトバンクとロッテは交流戦で強さを発揮するのが伝統と化している。
ソフトバンクは勝率1位に過去6度君臨(もちろん12球団トップ)。直近2年間も1位に輝き、ただ今「2連覇」中だ。
一方のロッテは初年度と2年目に連覇を果たし、交流戦王者の印象を強めた。その後は頂点に立つことがなかったものの、昨季は2位。今季は開幕ダッシュこそ失敗したが、得意の交流戦で波に乗りたい。
たかが交流戦、されど交流戦。143分の18試合をどうとらえるかはチームによるだろう。
ちなみに、過去12回の交流戦優勝チームのうち、5チームがそのままリーグ覇者に。うち4チームが日本一となっている(2005年のロッテ、2011年のソフトバンク、2012年の巨人、2015年のソフトバンク)。
ほかにも、交流戦での失速がV逸の原因といわれた2005年の中日(当時のファンには「降竜戦」と揶揄されたとか……)や、交流戦から大型連勝が始まり優勝につなげた昨季の広島など、期間中の戦いぶりがペナントレースの結果に結びつくことも少なくない。
単なる「イベント」と思うなかれ。交流戦はリーグの威信をかけ、互いの意地と意地がぶつかる真剣勝負の場である。
文=加賀一輝(かが・いっき)