5月8日現在、首位ソフトバンクと3ゲーム差の2位につけているロッテ。チーム防御率がパ・リーグ2位の3.38と投手陣の奮投が目立っている。そのなかで特に光る活躍を見せているのが、高卒3年目の二木康太と13年目の内竜也だ。
2013年のドラフト6位でロッテから指名を受けた二木。プロ1年目は2軍で2試合の登板に終わったが、2年目の昨季は2軍での登板機会が増え、6月以降は2軍の先発ローテーションの一角を担った。シーズン終盤の10月1日、日本ハム戦での1軍初登板で5回1失点と結果を残した。
3年目の今季。二木は春のキャンプからアピールし、3月30日の楽天戦でプロ初先発を果たした。5回途中3失点で負け投手となり、続く4月5日のソフトバンク戦でも4回途中3失点と先発の役割を果たせなかった。しかし、今季3試合目の登板となった12日の楽天戦で8安打を許したものの、6奪三振1与四死球で失点は1。プロ初勝利を初完投で飾った。
今季ここまで6試合に登板し2勝3敗、防御率4.08。35回1/3を投げ、被安打は41とイニング以上の安打を許している点はいただけないが、与四球率は1.53と制球面で崩れることはない。
二木の特長は187センチの長身からスリークォーターに近い腕の振りで投げるストレート。150キロに迫るようなスピードはないが、ベースの上での伸びがありスピードガンの表示以上に速く感じるストレートに、カーブ、スライダー、フォークを低めに集めて打者を打ち取るタイプだ。長身で細身、ストレートの質やピッチングスタイルは、現在シアトル・マリナーズで活躍している岩隈久志と重なるファンも多いのではないだろうか。
昨季、二木の2軍での投球内容を見ると、アウトの内訳が三振64、ゴロアウト105、フライアウト94と数字の上ではゴロを打たせる投球に長けていた。
今季ここまでの1軍でのアウトの内訳は、三振22、ゴロアウト34、フライアウト38と若干フライアウトが多くなっている。本拠地のQVCマリンフィールドは風が強いことで有名だ。よりアウトにしやすいゴロを打たせる投球を磨いていってほしい。
順調にステップアップしている二木に対し、ようやく出てきたと思わせるのが内竜也だ。川崎工高時代は加藤幹典、吉田幸央(ともに元ヤクルト)と「神奈川公立三羽烏」と呼ばれ、2003年ドラフト1巡目でロッテに入団した(写真は高校時代の内竜也)。
5月8日現在、14試合に登板し2勝0敗、パ・リーグ最多の9ホールド、防御率1.35。13回1/3を投げ、奪三振が14、奪三振率9.45。被打率は.111で、1イニングあたりに許した走者の数を示すWHIPは0.60。クローザー西野につなぐセットアッパーとして申し分ない成績を残している。ケガの多い内の体質を考慮してか、最長でも2日連続登板とベンチの配慮も見られる。
内のシーズン最多登板は2009年の31試合(26イニング)だが、このままいけば更新する可能性は十分だ。「ケガさえなければ…」、「素質はすごいのに…」と、いわゆるロマン枠だった内が、13年目にして大きな夢を描けるか。祈りにも近い気持ちで見守りたい。
文=京都純典(みやこ・すみのり)
1977年、愛知県出身。出版社を経て独立。主に野球のデータに関する取材・執筆を進めている。『アマチュア野球』(日刊スポーツ出版社)、『野球太郎』(廣済堂)などに寄稿。1軍はもちろん、2軍の成績もチェックし、分析している。