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《2016年カープ通信簿・投手編》神っていた今シーズンの総まとめ。ライターが独断でつけた通信簿


 25年ぶりのリーグ制覇、球団史上最高勝利数など、文字通り神っていた今シーズンの広島。チームとしては最高のシーズンだったが、選手個人に目を向けた場合どうだっただろう?

 そこで、1軍出場した選手の個人成績を参考に、通信簿を独断でつけてみた。

今回はリーグ制覇の原動力となった投手陣の通信簿を紹介してみたい。

※通信簿は「大変よくできました」(5)、「よくできました」(4)、「まぁまぁです」(3)、「もう少し」(2)、「頑張りましょう」(1)の5段階評価、選手は背番号順に掲載、選手名の前の数字は背番号

優勝を置き土産に引退した黒田博樹、エースへと成長した野村祐輔


■11 福井優也
13試合:5勝4敗/防御率4.34
通信簿:頑張りましょう(1)

 「エース」としての働きを望まれた今シーズンだったが、結果として期待を裏切る成績に。ポテンシャルの高さは誰もが認めるだけに奮起に期待したい。

■12 九里亜蓮
27試合:2勝2敗/防御率4.50
通信簿:まぁまぁです(3)

 今シーズンは先発、中継ぎと、様々な場面で登板。チームの危機を救った。

■14 大瀬良大地
17試合:3勝1敗/防御率3.32
通信簿:もう少し(2)

 「マエケンの穴は俺が埋める」宣言も虚しく、ヒジの負傷で出遅れてしまったのは、あまりにも痛すぎた。

■15 黒田博樹
24試合:10勝8敗/防御率3.09
通信簿:よくできました(4)

 惜しまれつつ、今シーズン限りでユニフォームを脱いだ黒田博樹。日米通算200勝、リーグ優勝を置き土産に花道を飾った。優勝争いのなか、チームにもたらした精神的な力は計り知れない。

■16 今村猛
67試合:3勝4敗/2セーブ/防御率2.44
通信簿:よくできました(4)

 復活を遂げた豪腕リリーフ。チーム最多タイの67試合の登板は立派。勝利の方程式の一翼を担った貢献度は果てしない。ただ、今村の持つポテンシャルの高さはこんなものではない。それは多くの広島ファンが知っている。

■17 岡田明丈
18試合:4勝3敗/防御率3.02
通信簿:よくできました(4)

 初先発での炎上、ケガでの離脱はあったものの、チームが加速してきた6月、7月にしっかりとローテーションを守った功績は大きい。

■19 野村祐輔
25試合:16勝3敗/防御率2.71
通信簿:大変よくできました(5)

 悲願の優勝の立役者。2年間の低迷を経て今シーズンに見事復活し、タイトルも獲得する大活躍。イニング数の少なさを指摘する声も多いが、数字が示す通り、登板試合のほとんどでゲームを作った。今後も継続して結果を残し、カープのエースになってほしい。

■20 永川勝浩
11試合:2勝0敗/防御率6.30
通信簿:もう少し(2)

 500試合登板の節目で満塁弾被弾を浴びるなど悔やまれるシーズンとなった。復活に期待したい一番手。


絶対的な守護神へと成長した中崎翔太


■21 中崎翔太
61試合:3勝4敗/34セーブ/防御率1.32
通信簿:大変よくできました(5)

 広島躍進を象徴する投手。昨シーズンの悔しさを糧に大きく成長した姿は、ファンの共感を呼んだ。セーブ数もさることながら内容も素晴らしい。日本を代表するクローザーに成長した。

■22 中村恭平
8試合:1勝1敗/防御率5.40
通信簿:もう少し(2)

 2013年以来の1軍勝利を挙げたが、ローテーションの入りのチャンスは逃した。

■23 薮田和樹
16試合:3勝1敗/防御率2.61
通信簿:まぁまぁです(3)

 ハイライトは8月30日のDeNA戦。首痛で急遽、登板を回避した福井優也に代わりスクランブル登板。6回無失点の快投を見せた。

■24 横山弘樹
6試合:2勝2敗/防御率5.47
通信簿:もう少し(2)

 プロ初先発で初勝利を挙げるも、その後は活躍できなかった。

■29 江草仁貴
8試合:0勝0敗/防御率6.00
通信簿:頑張りましょう(1)

 8試合のみの登板となってしまった。年齢から見ても、来シーズンは背水のシーズンとなるだろう。

■30 一岡竜司
27試合:1勝1敗/防御率1.82
通信簿:まぁまぁです(3)

 ケガから復帰した快速右腕。復帰当初はやや安定感を欠いたが、8月以降はわずか1失点。完全復活目前だ。

■34 中田廉
8試合:1勝1敗/防御率16.62
通信簿:頑張りましょう(1)

 開幕1軍をつかむも失点を重ね登録抹消。4月以降出番はなかった。

■36 塹江敦哉
3試合:0勝1敗/防御率11.37
通信簿:もう少し(2)

 プロ初登板では、プロの洗礼を浴びた。この悔しさを糧に来シーズンの飛躍を期待したい。

■39 飯田哲矢
2試合:0勝0敗/防御率0.00
通信簿:もう少し(2)

 2試合の登板に終わったが、爪痕は残せたか?

リーグ優勝の原動力となった外国人投手トリオの大活躍


■42 ジョンソン
26試合:15勝7敗/防御率2.15
通信簿:大変よくできました(5)

 広島が誇る左腕エースは、今季も大活躍。特に3試合連続完封は圧巻だった。広島優勝の原動力は彼の好投にあった。また、沢村賞も獲得。文句のつけどころのない活躍で、来シーズン以降の3年契約も決定した。

■47 小野淳平
6試合:0勝0敗/防御率7.36
通信簿:頑張りましょう(1)

 今シーズンも持ち味を発揮することはできなかった。

■48 西原圭太
2試合:0勝0敗/防御率12.60
通信簿:頑張りましょう(1)

 久々の1軍登場で大炎上。あえなく引退となってしまった……。

■53 戸田隆矢
17試合:4勝0敗/1セーブ/防御率2.80
通信簿:頑張りましょう(1)

 初完封を記録するなどチャンスをつかみかけたところでのケガは、ファンを大いに落胆させた。

■57 オスカル
23試合:2勝0/敗防御率6.35
通信簿:もう少し(2)

 前評判からすると物足りないが、ルーキーながら23試合の登板は及第点か?

■58 ジャクソン
67試合:5勝4敗/防御率1.71
通信簿:大変よくできました(5)

 チーム最多タイの67試合に登板。不動のセットアッパーとして八面六臂の大活躍を見せた。プレー以外でも、トレードマークのヒゲ面や、登板後に見せるビッグスマイルなど、明るいキャラクターで人気を博し、球場を大いに盛り上げた。

■65 久本祐一
1試合:0勝0敗/防御率45.00
通信簿:頑張りましょう(1)


 支配下登録された年に優勝。「Aクラス請負人」の面目躍如となったが、自身の成績は……。

■66 ヘーゲンズ
50試合:7勝5敗/防御率2.92
通信簿:大変よくできました(5)

 シーズン当初は育成的な立場だったが、昇格後は得意のカットボールを武器に大活躍。中継ぎで結果を出した後、先発陣にケガ人が増えると先発にまわり、そこでも結果を残した。チームの危機を救う活躍を見せたことで「裏MVP」に挙げる声も。

■70 デラバー
2試合:0勝0敗/防御率0.00
通信簿:もう少し(2)

 シーズン終盤に緊急来日も、好調なチームにおいて出番がなかった。

■98 佐藤祥万
2試合:0勝0敗/防御率7.71
通信簿:頑張りましょう(1)

 毎年背水の陣を強いられているが、来シーズンも同様となりそうだ。


 リーグ1位のチーム防御率3.20を記録するなど、年間を通して安定していた広島の投手陣。特にジョンソン、野村、黒田の先発3本柱と、今村、ジャクソン、中崎の勝利の方程式が確立できたことが優勝への原動力となった。

 投手陣全体としては、「大変よくできました(5)」。


文=井上智博(いのうえ・ともひろ)

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