ロッテの若きチームリーダー・鈴木大地は、今季から三塁へコンバート。すでに、昨年の秋季キャンプから練習に取り組んでいる。このコンバートには「ホットコーナーの三塁は熱い選手にやってもらいたい」という井口資仁新監督の意向が込められている。そこで、鈴木が適任と判断したようだ。
鈴木は、東洋大入学後から3年生までは三塁手で、大学日本代表でも守っていた。プロ入り後も1年目の2012年に23試合、2013年に5試合、2016年に14試合と、スタメン、途中出場を含めてそれなりに三塁の経験を積んでいる。
また、昨季は遊撃から二塁へコンバートされながらもゴールデン・グラブ賞を受賞したように、器用な面もある。さらに加えるなら、二遊間に比べで三塁は連係プレーも少なく、大きな戸惑いはないはず。オープン戦からロッテの新ホットコーナーの熱いパフォーマンスが見られるか。
昨季は、シーズンを通して三塁手として出場した鳥谷敬(阪神)。2016年の不振により、連続試合出場継続にも黄信号が灯りつつあったが、鮮やかな復活劇を見せ、こちらもゴールデン・グラブ賞を受賞した。
そんな鳥谷が、この春のキャンプの守備練習では二塁にも入っている。大和がDeNAにFA移籍したこともあり、内野のポジションは流動的。阪神首脳陣は二塁・鳥谷を「有事の備え」としており、ペナントレースが始まってからの実現性は未知数だ。
しかし、一塁に新外国人のロサリオが入るとするなら、昨季、ルーキーとしてはまずまずの活躍を見せた大山悠輔を守備負担の少ない三塁へ、そして実力者の鳥谷を二塁へ、というパターンは十分考えられる。そうなれば、二塁のポジションを争う上本博紀、糸原健斗、西岡剛らも黙っていないだろう。
阪神のダイヤモンドでは、オープン戦が始まると同時にレギュラー獲りへのバトルが幕を開ける。
森友哉(西武)は捕手復帰へ意欲を燃やす。大阪桐蔭高時代は藤浪晋太郎(阪神)とバッテリーを組んで甲子園で春夏連覇しているように、捕手が本職。厳密にはコンバートとはいえない。しかし、今季が5年目となる森のポジション別出場数は、外野が72試合で捕手は62試合。最も多いのはDHだが、守備では外野のほうが多いのだ。
というのも、プロ入り後は、「捕手・森」は失格の烙印を押されかけていた。単純に守備面のレベルというよりは、捕手としてのあり方に悩みすぎて、持ち味のパワフルな打撃に悪影響が出てしまったことが大きかった。それならば、負担の少ないDHか外野で、伸び伸びと打席に立ってもらおうという配慮がなされたのだった。
しかし、2017年からチームを率いる辻発彦監督は、就任後に森を捕手として使うことを明言。しかし、昨季開幕前の3月4日、キューバとのWBC強化試合で死球を受け骨折。シーズンの大半を棒に振ってしまい、捕手としての出場は12試合止まり。なんとなくモヤっとしたまま2017年を終えたのである。
西武には、正捕手の炭谷銀仁朗がいる。打力では「森>炭谷」ではあるが、経験も含めた捕手としての総合力は「炭谷>森」。昨季の炭谷は、キャリアハイの打率.251を記録し、打撃でもまだまだ伸びしろのあるところを見せた。30歳となったが、そう簡単にポジションを明け渡すはずもない。そして、昨季は65試合でマスクをかぶった岡田雅利もいる。そのなかで、オープン戦が始まってから、森がどこまで捕手としての存在感を示せるか。目が離せない。
文=藤山剣(ふじやま・けん)