背番号、それはチームの想いや歴史が詰まっている神聖なもの。今回は前年最下位からの巻き返しを狙うDeNAの系譜を見ていこう。
ドラフト1位指名の今永昇太(駒澤大)には背番号「21」が与えられた。この番号は1961年から絶えず投手が身に着け、特に先発型サウスポーの代名詞となっている。
近藤昭仁、山下大輔、進藤達哉、そして金城龍彦――。チームを支えた名選手はみな、背番号「1」とともに戦ってきた。この非常に重みのある番号を、今季からはドラフト2位右腕・熊原健人(仙台大)が背負う。
球団において投手が背番号「1」を背負うのは、1950年の岩本信一以来66年ぶりのこと。その前任者である岩本は、“元祖・神主打法”で有名な岩本義行の実弟である。主に先発として7勝を挙げたが、翌年に松竹ロビンスへ移籍。1年のみの在籍となった。
1960年からの15年間が近藤、1975年からの14年間が山下、そして1993年からの8年間が進藤と、好守の内野手が代々着けてきた「1」。これが21世紀に入ると流れが変わり、野性味溢れる両打ち外野手・金城の代名詞に。金城が巨人に移籍した昨季は空き番号となっていた。
そして2016年からは熊原が継承。背番号「1」の投手といえば、古くは鈴木啓示(元近鉄)、現在は松井裕樹(楽天)と左腕のイメージがある一方、右腕で顕著な成績を残した者はほとんど見当たらない。それを知ってか知らずか、ファンの中でも賛否両論が出たようだ。ただ、本人は入団会見で『結果で覆したい』と力強く語っている。
今季から新監督に就任したのが、アレックス・ラミレス。選手として在籍中の2013年には、外国人初のNPB通算2000安打を達成。ジャパニーズドリームを掴んだ最強助っ人が、今度は指導者として栄光を目指す。
注目の背番号は「80」。ヤクルト、DeNA時代の「3」や巨人時代の「5」からはあまり連想されないものの、この数字にはラミレス監督の明確な意思が込められていた。
『優勝するために必要な数字』
つまり「80」番=シーズン「80」勝。これをクリアすれば、おのずとリーグ制覇に近づくと踏んでいるのだ。確かに直近5年間のセ・リーグを見ると、80勝を挙げて優勝を逃したチームはなく、昨季のヤクルト(76勝)のように80勝に届かなくても頂点まで駆け上がった例もある。ラミレス監督の意思には明確な根拠があった。