今夏の甲子園大会で注目を集めた、早稲田実(西東京)の怪物1年生・清宮幸太郎の甲子園での活躍を振り返りたい。
28日に開幕するU-18野球ワールドカップでも早くも日本代表に選出された清宮。果たしてその実力はホンモノか、話題先行か、過去の怪物1年生たちの成績を合わせて、全試合をプレイバック!
大阪・豊中市内で行った前日練習では140メートル弾をかっ飛ばすなど、準備万端の清宮。対する愛媛の強豪・今治西も「1年生には好きにはさせない」とばかりに闘志を燃やす。
第1打席は内角を攻められ、ファーストフライ。第2打席は右足に当たる死球、第3打席も差し込まれてセンターフライと今治西の内角攻め&緊張に苦しんだが、この日は西東京大会では荒れた早稲田実のエース・松本皓が8回無失点の好投。
先輩エースの好投に応えるべく、3対0で迎えた7回の第4打席(1死二塁)。初球、逆玉となった外角ストレートを見逃さず、痛烈に一二塁間を抜く中押しタイムリー。怪物の甲子園初安打初打点となった。
第5打席は同じく外角を打ち返したが、こちらは勢いなくセカンドゴロ。上々の滑り出しを見せたが、「鮮烈デビュー」とまではいかなかった。
ドラフト候補の左腕・堀瑞輝を擁する広島新庄。清宮も「ここまでの投手とはレベルが違う」と警戒していたが、第1打席から堀の緩急に空振り三振。
不安的中か…と思わせたが、1死一三塁で迎えた3回には外角低めを柔らかく打ちセカンド頭上を越えるタイムリーで先制点。
清宮のタイムリーを皮切りに試合は乱打戦に突入。続く5回には真ん中高めのボールをレフト前に運び、先頭打者で出塁。6回には初球デッドボールで3打席連続の出塁となった。
7回の第5打席では真ん中に入ったボールを痛烈に捉えたが、ボールはピッチャーが伸ばしたグラブにスッポリ。ヒット1本、損をしたような当たりだった。
怪物がついに火を噴いたのがこの一戦だ。第1打席、3試合連続となる死球をお尻に受け、各校の猛マークが明らかになると、3回1死一塁で迎えた第2打席、外角に外すつもりがど真ん中に入ったストレートを見逃さずバットを振り抜くと、ライトスタンドに飛び込む甲子園第1号ホームラン!
6回の第4打席、2死満塁では外角低めの厳しいコースにも関わらずライトポール際フェンスまで運ぶ、走者一掃の3点タイムリー。第5打席にも真ん中高めに流れたストレートをライト線の奥に運び、2打席連続の二塁打。
1本塁打を含む、3長打を繰り出した怪物の目を見張る働きもあり、東海大甲府を下した。
この試合も清宮が魅せた。第1打席は胸元のボールに詰まり、ピッチャーゴロに倒れたが、先頭打者で迎えた3回、初球の内角低目を捉えるとライトポール際に吸い込まれるホームラン!
打球速度が速すぎて、熟練のNHKカメラが追いきれないという“怪物弾”だった。
この試合、第4打席でも真ん中高目を左中間のフェンス際まで飛ばす二塁打を打った清宮。2試合連続の本塁打に「これはホンモノだ!」と場内は騒然となった。
ここまで来れば優勝を狙いたい早稲田実。しかし、相手は昨秋の明治神宮大会優勝の仙台育英。エース・佐藤世那は伸び伸びとしたフォームからキレのある直球に加えて緩急自在の堂々のドラフト候補。
第1打席から外角の伸びるストレートを引っ掛けて、ダブルプレーに打ち取られると、第2打席でも同じコースを引っ掛ける。これはセカンドが足を滑らせて内野安打となったが、実質的には佐藤世那の勝ちといったところだろう。
第3打席は四球を選び、第4打席は外角低めを打ち上げてセカンドフライ。
佐藤世那の投球術に抑え込まれた早稲田実&清宮はここで姿を消すことになった。