熱戦が続くプロ野球。セ・リーグではアツい優勝争いが、パ・リーグではCS進出争いが佳境を迎えている。ペナントレース終盤戦が訪れるからだろうか、過去の歴史を遡ると、プロ野球界では9月に記念すべき本塁打が数多く生まれている。
過去、9月に飛び出した記念すべき本塁打を紹介するとともに、古今東西の節目となるホームラン記録を振り返ってみよう。
1977年9月3日午後7時10分7秒、日本に、世界に誇る偉大な記録が生まれた。巨人の王貞治が後楽園のライトスタンドにホームランを放ち、ハンク・アーロンの持っていた世界最高記録・通算755本を破る、自身756本目のホームランを放ったのだ。「世界の王」が誕生したこの日は、俗に「ホームラン記念日」とも呼ばれている。
2001年9月26日、近鉄対オリックス戦で北川博敏が「代打逆転サヨナラ満塁ホームラン」を放ち、近鉄はリーグ優勝。この一打を、史上もっとも劇的なホームランとして記憶する人は多い。
めったに見られない希少性も「代打逆転サヨナラ満塁ホームラン」の価値を高める要因のひとつだ。北川の一打を含めても、プロ野球80年の歴史でたった8本だけ。その最初の一打を記録した人物が、巨人にいた樋笠一夫だ。1956年3月25日、後楽園での巨人対中日戦でその劇的なホームランを放っている。打った相手が「フォークの神様」として名高い中日の大エース・杉下茂から、というのがこれまた衝撃的だ。
日本プロ野球における最初のホームランは1936年5月4日、甲子園球場で行われた大阪タイガース対東京セネタース戦で生まれた。
大阪の2番打者、藤井勇が放った打球はセンターの横を抜けて外野フェンスにまで転がった。藤井はこの間にダイヤモンドを一周してホームイン。つまり、プロ野球第一号はランニングホームランだったわけだ。
ちなみに柵越えでの初ホームランは、同年5月22日の阪急軍対大東京軍戦(宝塚球場)で、「和製ベーブ・ルース」と呼ばれた阪急軍の山下実が放っている。
日本プロ野球界にとって誇るべき王貞治の世界記録。だが、やはりMLBとは球場の規模等も違うため、並べて評すべきではない、という声も大きい。そんな広大のMLBの球場で、はじめてホームランを打った日本人選手は?
答えはイチローでも松井秀喜でもなく、ドジャース時代の野茂英雄。本拠地でのブルワーズ戦に先発し、11奪三振の好投で2勝目(3敗)をあげた試合の7回に飛び出したのがMLB初の日本人によるホームランだ。野茂自身、このホームランが生まれた試合を「ノーヒットノーランを達成した試合と並んで印象深い試合」と語っている。パイオニアは、バットを握ってもまたパイオニアだった。
上述した藤井勇の第1号ホームラン以降、日本プロ野球では95000本以上のホームランが生まれている。95000号ホームランはソフトバンクの松田宣浩が昨年5月13日の試合で達成。近年はだいたい、3〜4年で5000本のホームランが生まれるのが平均的なペースだ。そこから予想される記念すべき「日本プロ野球通算10万号ホームラン」は2017年秋か2018年の春頃の可能性が高い。
今活躍する選手の誰かなのか? それともまだ見ぬ助っ人外国人や現在の高校球児がプロ入りして……という可能性だってあるだろう。プロ野球が続く限り、ホームランの魅力は色あせることはない。