【2017夏の高校野球】《香川観戦ガイド》有望選手と大会展望&地区勢力ピラミッド
昨年より小粒も個性派や素材型が楽しみ
今夏にも未来にも栄誉の雨を降らせるか
投手編 〜個性が光る投手たち〜
香川には全国に誇れる精密系右腕がいる。その名は県最東端・三本松の佐藤圭悟。体格こそ恵まれていないが、常時130キロ後半ストレートの威力、「ボールを常に握って、キャッチボールで試してきた」7種類を操る変化球に、勝負所での闘争心。制球力は当然として、その他の能力もどれも申し分ない。
中南米系剛腕は武田玄(志度)だ。極端なインステップ、上半身主導にもかかわらず、突き刺さるストレートは最速144キロを叩き出す。いずれも最速130キロ後半を出す富田龍、鎌田大輝との右腕3枚が、32年ぶりの甲子園出場へのカギとなる。
今年の香川は左腕も豊富だ。元根哲輝(尽誠学園)は先輩の土肥星也(ロッテ)の系譜を辿りそうな伸びしろを持つ。朝倉佑哉(高松商)は普段は右翼手も、マウンドに立てば130キロ中盤のストレートを投ずる。細川翔太(高松一)は制球力さえ改善できれば、球持ちがいいストレートが生きるはず。山田倫(四国学院大香川西)も最速136キロのストレートが持ち味だ。
その他には、183センチながら技巧派に生きる道を見出した宇良康太郎(大手前高松)、130キロ中盤を常時出す島田涼也(多度津)、打者のタイミングを巧みに外す西山諒祐(坂出)らも注目右腕だ。
2年生右腕も好素材が目白押し。「千賀滉大(ソフトバンク)さん
の握りを参考にしている」という大前輝明(丸亀城西)は初速と終速の差が少ないストレートが武器。松岡志祐(高松商)、東山玲士(丸亀)、中岡一輝(小豆島中央)はいずれも最速130キロ後半のストレートを投じ、山上達貴(藤井)はサイドハンドから変幻自在のシンカーで昨秋県ベスト4進出の原動力となった。
野手編 〜火を噴け! 英明の大砲2門〜
例年、強打線を形成してくる英明は今年も健在。右サイド投手としても135キロをマークする藤井拓海は、高校通算25本塁打を超える強打者。2年生一塁手・千原凌平も高校通算20本塁打に迫る。この右の大砲2門が火を噴けば、長打力が光る吉岡宏芙、スイッチヒッター・湊卓も絡んだ得点力は倍加するだろう。
〜高校野球に「レインメーカー」〜
中原輝也(尽誠学園)は昨夏甲子園で作新学院・今井達也(西武)から2打数2安打。昨年のセンバツでの活躍が記憶に新しい植田理久都(高松商)は、春先の大ケガから5月に復帰し、最後の夏は捕手としての完全燃焼を誓う。
「奪進塁」をチームテーマに掲げる大手前高松では、十河穂岳、寿賀蒼音といった俊足選手たちを、4番の久保洸真が扇の要で支える。さらに上位から下位まで繋がる三本松打線の急先鋒を担う川?愛弥や、強肩強打の法兼圭佑(坂出)、甲子園も経験した堅実な守備が光る坂口大和(小豆島中央)などに注目したい。
そして名前を「れいん」と読む橋口怜衣(観音寺総合)は強烈な打球が持ち味。統合校に金の雨なならぬ、勝利の雨を降らす「レインメーカー」となれるか注目だ。
大会展望 〜「早実戦燃え尽き症候群」が発症したら〜
シード4校は春季県大会を制した三本松、英明、丸亀城西、坂出。エースが安定している三本松に、強打を誇る英明が挑む構図が濃厚だ。ただし4校は6月17、18日の両日に早稲田実と戦う香川県高野連招待試合にも参加。注目度を浴びる戦いを経て、彼らが再びモチベーションを維持できるか。もし「燃え尽き症候群」を発症した場合、投手陣充実の志度や秋の県王者・高松商、2年連続を狙う尽誠学園など、春ベスト8以下の渇望感を持つ実力校が一気に浮上してくる。
野球太郎 No.23
「2017夏の高校野球&ドラフト特集号」
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