プロ野球の季節がいよいよやってきた。近年はテレビ放送やインターネット配信サービスが充実。自宅にいながら、いや移動しながらでもプロ野球の全試合を観戦することが可能となった。しかし、球場へ足を運ぶ人の数は減っていない。それは球場で観る野球に魅力があるからにほかならない。今回は「プロ野球を球場で観よう!」というテーマで、筆者おすすめの4球場を紹介したい。
都内近郊でプロ野球を観たくなったら、ヤクルトの本拠地である神宮球場に足を運ぶのがおすすめだ。数年前に比べるとチケット完売のゲームが増えたため、ふらっと立ち寄って、外野自由席でのんびりと観戦するのは少し難しいかもしれない。
それでも都心からのアクセスは抜群。屋外球場ならではの開放感がある神宮球場で観る野球は素晴らしい。その魅力の一つにブルペンがファウルグラウンドに設置されていることが挙げられる。
先発マウンドに登る前の投球練習。試合が始まって間もなくすると徐々に中継ぎ投手陣が肩を作り始める緊張感。その様子を、それこそ一挙手一投を足追うことができるのである。また、チームによって「肩の作り始め」が違うということもよくわかる。
座席の位置によってはブルペンと電話で話す声が聞こえたり、変化球の曲がりを間近で観ることができるのもファンにとっては嬉しいはず。もちろん、試合での投球に比べると本気度は劣るだろう。それでも、目の前で観るプロの投球練習はやはり違う。そう感じさせてくれるのである。
また外野からでも誰がブルペンに入ったかを目で追うことができるのも嬉しい。ピンチになると慌ただしくなったり、完ぺきな投球を先発投手が続ければ誰も投球練習を行わないといった変化も手に取るようにわかる。
試合だけでなくブルペンでの準備も観ることができる神宮球場。おすすめである。
新幹線の停車駅である仙台駅から徒歩でも向かうことができる楽天生命パーク宮城。バスや電車でのアクセスももちろん可能だが、歩いて球場へ向かうのもまた楽しみの一つ。そんな楽天生命パーク宮城は、ここ数年でまさにボールパークの様相が漂う。
左翼スタンド後方には観覧車やメリーゴーラウンドが設置されており、子ども連れでも試合前に楽しめる配慮が多くなされている。球場の外周には子ども用の汽車も走っている。
オフィシャルグッズショップも充実しており、飲食ブースも豊富。観戦前、観戦後も楽しめる雰囲気づくりは球界最高峰だ。
グラウンド内部に目を移すと、東北のような雪がある地域では難しいと言われていた天然芝を採用。緑は青々しく、そして美しい。プレーする選手たちにとっても天然芝は体への負担が少ないことがプラスに働くはず。
座席を見るとコスト重視、快適さ重視、応援重視とその目的に応じた席種が豊富に揃えられている。2019年シーズンも右翼スタンド付近に「イーグルスタワー」と名づけられたグループ席が新設された。残念ながらオープン時期が5月から7月に変更となったが、新しいグループ観戦スタイルの提案はおもしろい。
時期によっては寒いのは確かだが、それを忘れさせてくれるような仕掛けを満喫したい球場だ。
屋外の2球場を紹介したが、ドーム球場でもオススメはたくさんある。その一つが札幌ドーム。日本ハムが北広島の新球場設置が発表したが、それは少し先の話。2019年シーズンはこれまで通り、多くのホームゲームが開催される。
球場は少し小高い場所にあり、外にある芝生の斜面でくつろぐことができる。試合開始前に気持ちを落ち着かせることができるのがグッドポイント。また、球場内はコンコースを一周できるのも嬉しい。構造上、外野席のチケットでは内野席に行けなかったり、再入場の手続きが必要な球場もあるなかで簡単に周回できるのはありがたい。バックスクリーン付近から打者を見ると、「こんなにも遠いのか」と本塁打を打ち込む選手たちの凄さにあらためて気づく。
そして北海道の札幌ドームとくれば、九州・福岡のヤフオク!ドームも紹介しないわけにはいかない。博多駅からのバス、唐人町駅からの徒歩などアクセスルートは複数あるが、だいたい混んでいる印象がある。それだけソフトバンクが地域に根づき、ファンを獲得した証拠ともいえる。
球場自体は決して新しくない。しかし、球場内は改修が多く施され、常にアップデートされている。その一つがバックネット側にある吊り下げ型のスクリーンだ。非常に薄く、真下あたりから見ると、驚くに違いない。その重さは1トン以上だというが、安全対策は施されており、ファウルボールがあたっても落ちてくることはないという。
また、球場外にあるグッズショップは広く、ゆったりと眺めることができる。試合終了後は混み合うこともあるが、ソフトバンクだけでなくビジターチームのグッズも豊富にあるので足を運びたい。
今回紹介した本拠地球場だけでなく、地方球場含め、おすすめの球場はたくさんある。文字数の都合上、今回は4球場にとどまってしまったが、ぜひ、お気に入りの球場を見つけて観戦に訪れてほしい。
文=勝田聡(かつた・さとし)