2019年に年が変わり、2月1日のキャンプインまで残り3週間程となった。選手たちは2019年シーズンへ向けて、この冬の間に様々な方法でスキルアップを目指している。
そのなかで注目したいのが、台湾、オーストラリア、中南米などで行なわれているウインターリーグに参戦した選手たちだ。投手を見ると、過去には岩貞祐太(阪神)が2015年のアジア・ウインターベースボール・リーグで最優秀投手に選ばれ、翌年のシーズンで初の2ケタ勝利を記録。ブレイクを果たしている。
このオフに世界で戦った若手投手たちを振り返ってみよう。
2年目の右腕・梅野雄吾(ヤクルト)はアジア・ウインターベースボール・リーグ(以下、アジアWL)で圧巻の成績を残した。守護神として起用された梅野は8試合に登板し、1点も与えることなく5セーブをマーク。まさに鉄壁の守護神として君臨した。
今シーズンも「7回の男」として起用されることが予想され、近藤一樹や石山泰稚の状態によっては8回、そして9回を任される可能性もあり得そうな内容だった。また、チームには寺原隼人、五十嵐亮太とこれまで実績を残している選手が加入する。球界の先輩たちからよい刺激を受け、競争を経てポジションを勝ち取って欲しい。
そして中継ぎではもう一人。大江竜聖(巨人)が7試合(うち先発1試合)に登板し防御率1.93。14回を投げ24奪三振と奪三振率は梅野を上回る15.4を記録した。11月に行われた日米野球のエキシビジョンマッチで原辰徳監督から2番手を任された期待のホープ。まだ1軍での登板はないが、3年目を迎える今シーズンはチャンスを与えられそうだ。期待に応える投球ができれば、1軍定着も夢ではない。まずは、キャンプ、オープン戦でもアジアWL同様の投球を見せたいところだ。
アジアWLで活躍したのは中継ぎ投手だけではない。先発の池田隆英(楽天)も4試合に先発し2勝0敗、防御率0.69、WHIP0.81と殻を破った感がある。2016年ドラフト2位と期待されたものの、2年目の2018年はわずか1勝。防御率5.91と戦力になることはできなかった。楽天の先発投手陣を見ると、則本昂大、岸孝之につづく3番手以降は競争だ。このアジアWLを「きっかけ」とし、先発ローテーション入りを果たしたい。
K-鈴木(オリックス)も3試合(内、先発2試合)に登板し、防御率1.15と結果を残した。2017年ドラフト2位で日立製作所からオリックスに入団。昨シーズンは、大卒社会人の上位指名ということで即戦力候補として期待された。しかし、4試合で防御率8.59と結果を残すことはできず、シーズンの大半を2軍で過ごした。
このオフ、チームからは金子弌大、西勇輝と柱の2人が去った。厳しい投手事情ではあるが、若手選手にとっては大きなチャンスとなる。K-鈴木もキャンプ、オープン戦でアジアWLのような投球を見せることができれば、チャンスはあるはず。まずはオープン戦で結果を残したい。
大卒4年目を迎える今永昇太(DeNA)はオーストラリア(オーストラリアン・ベースボールリーグ)で躍動した。すでに1軍での実績があり、発言も大人びていることから若く見られないが、まだ25歳。十分に若手である。その今永は派遣期間中6試合に先発し、4勝0敗、防御率は驚異の0.51。35回で57奪三振と奪三振率は13.9とまさに圧倒した。
2017年は11勝7敗、148回を投げ防御率2.98と奮闘した。しかし、昨シーズンは23試合で4勝11敗5H、防御率は6.80と苦しんだ。途中、中継ぎに配置転換もされ、ローテーションを守ることはできなかった。オーストラリアでの投球をシーズンでも見せたいところだ。
このように、多くの投手が世界各国で行なわれているウインターリーグで結果を残している。もちろん、NPBの1軍とのレベルの違いはある。しかし、好成績を残したことには変わりない。その勢いを新たなシーズンにも、持ち込んでくれることを期待したい。
文=勝田聡(かつた・さとし)