春の吉報を手にするのは誰だ!? 秋の地区大会出場を決めた監督たちのアレコレ
2014/10/7
各地の秋季県大会が大詰めを迎え、センバツ切符をかけた地区大会への出場校が徐々に出揃ってきている。奪三振王・吉田凌を擁する東海大相模(神奈川)、福島県の絶対王者・聖光学院、今春のセンバツ準優勝校・履正社(大阪)といった甲子園常連校が姿を消すなど、やや波乱含みの様相を見せてはいるが、今夏の甲子園優勝校・大阪桐蔭、ベスト4の敦賀気比、日本文理は順当に地区大会へと駒を進めている。
今回は『野球太郎No.010 高校野球監督名鑑号』に載っている監督たちの中から、地区大会への出場を決めた監督たちを数名取り上げてみよう。甲子園での優勝経験を誇る名将から新世代監督までを織り交ぜながら……。
●原田一範(弘前学院聖愛/青森)
共学化にともない2001年に創部された野球部をゼロから作り上げ、2013年夏には八戸学院光星、青森山田らの牙城を崩して遂に甲子園に出場した原田監督。野球経験者5人の野球部からスタートし、自費で寮を建てるなど当代きっての情熱家だ。「津軽から日本一」を成就するのはこの監督かもしれない。
●中村猛安(日大東北/福島)
今秋の県大会では福島の絶対王者・聖光学院を準々決勝で下し、頂点まで駆け上がった日大東北の中村監督。9回2アウトから大逆転負けを喫した今夏の福島大会決勝の雪辱をしっかりと晴らしてみせた。甲子園58勝を誇る名将・中村順司監督(PL学園)の血を継ぐ者=長男として、「常勝監督」への道を切り開くか。
●八木崇文(平塚学園/神奈川)
勢力図が塗り変わりつつある神奈川で昨年夏に準優勝、一昨年夏にはベスト4と存在感を発揮している平塚学園の八木監督。東海大相模、桐光学園、桐蔭学園など並みいる強豪を撃破して今秋を制した。野呂雅之監督(桐光学園)や水谷哲也監督(横浜隼人)らの元へ学びにいく勉強熱心さが実を結ぶ日は近い。
●西野貴裕(小松大谷/石川)
今夏の石川大会決勝で星稜に世紀の大逆転負けを喫した小松大谷だが、今秋も準決勝で星稜にまたもや逆転負け。西野監督の心中はいかばかりか……。ピンチでもチャンスでも冷静で肝が座っている西野監督だけに、3位で滑り込んだ北信越大会では、ぜひリベンジを成し遂げて欲しいところだ。
●倉野光生(愛工大名電/愛知)
夏の甲子園では7連敗中ながら、センバツでは優勝1回、準優勝1回と抜群の戦歴を誇る倉野監督。今秋の県大会決勝では誉に競り負けたものの、東海大会への出場権はしっかりと確保した。ユニーク、且つ、独創的な策を練って、一世を風靡した「バンド戦法」の“次”を目論む知将の試合ぶりに注目したい。
●中井哲之(広陵/広島)
ライバル・広島新庄との直接対決が続く今年の広陵。今春、今夏の広島大会では勝利するも、今秋は準決勝で苦杯を喫した。今夏の甲子園のベストバウトのひとつに数えられる三重戦の激闘をみてもわかる通り、勝っても負けても熱い試合を繰り広げる中井監督だけに、中国大会での巻き返しを期待したい。
他にも池田(徳島)以来となる甲子園夏春連覇を狙う西谷浩一監督(大阪桐蔭/大阪)。ハイブリッドな大型チームを作り上げ、今夏の甲子園で旋風を起した34歳の青年監督・東哲平監督(敦賀気比/福井)。静岡大会を優勝し、東海大会7季連続出場を決めながらも、センバツへの道が遠い栗林俊輔監督(静岡/静岡)。広島商で選手、監督として優勝経験を持つ兄・迫田穆成監督(如水館/広島)と同じ県でしのぎを削る迫田守昭監督(広島新庄/広島)などの、秋の地区大会の行く末も気になるところだ。
▲東哲平監督(敦賀気比)
微に入り細に渡り高校野球監督を徹底網羅した「高校野球監督名鑑号」は、「スペシャルインタビュー」「49地区別有力高校監督」「変わり種監督」を始め、どのコーナーも高校野球監督尽くし。高校野球監督好きは、ぜひこの一冊を片手に秋の地区大会を楽しんでもらいたい。
(※秋季県大会の成績は、当原稿執筆時の10月2日現在のもの)
■ライター・プロフィール
山本貴政(やまもと・たかまさ)/1972年3月2日生まれ。音楽、出版、カルチャー、ファッション、野球関連の執筆・編集・企画・ディレクションを幅広く手掛けている。また、音楽レーベル「Coa Records」のディレクターとしても60タイトルほど制作。最近編集を手掛けた書籍は『ブルース・スプリングスティーン アメリカの夢と失望を照らし続けた男』、編集・執筆を手掛けたフリーペーパーは『Shibuya CLUB QUATTRO 25th Anniversary』、ディレクションを手掛けた展示会は『Music Jacket Gallery』(@新宿高島屋)など。
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