セ・リーグ2連覇を目指す巨人の主砲・岡本和真が好調だ。紅白戦、練習試合、オープン戦と進むなか「4番」らしい働きを見せており、原辰徳監督はこの岡本を「若大将」と呼び、チームの柱としての期待を寄せる。
そんな風格が漂いつつある岡本は今年が高卒6年目。まだまだ若手の1996年生まれ世代(1996年4月2日〜1997年4月1日生まれ)である。現時点でこの世代は、岡本がトップランナーとして引っ張っているが、他にはどのようなメンバーがいるのだろうか。1996年世代の同級生を振り返ってみたい。
巨人では、岡本の他に支配下登録されている選手は、2018年のドラフト1位高橋優貴と2017年ドラフト2位の岸田行倫の2人が1996年世代となる。
高橋はルーキーイヤーだった昨シーズンは5勝を挙げ、今シーズンも先発ローテーション入りを争っている。岸田はこれまで4試合の出場のみだが、オープン戦でもスタメン起用されており、今年はチャンスの年だ。
同学年の岡本がすでに大ブレイクし、巨人の4番を背負っているだけに負けられないところだろう。
続いて岡本と同じく高卒でプロ入りを果たした選手で、昨シーズンまでに結果を残している選手を紹介しよう。
野手では清水優心(日本ハム)、太田賢吾(ヤクルト)、植田海(阪神)の3人だろう。史上最年少で打率3割、30本塁打、100打点を記録した岡本に比べると見劣りするのは確かだが、清水は1年目から徐々に出場試合数を増やし、昨シーズンは98試合に出場している。今シーズンは100試合の大台、そして規定打席到達にも期待がかかる。
太田はドラフト8位で日本ハムに入団。下位指名ながら3年目から出番を勝ち取り、ヤクルトに移籍した昨シーズンは90試合に出場。故障者の多いチームの中で奮闘した。ユーティリティー性を兼ね備えており、多くのポジションを守ることができるのは強み。昨シーズンの最終戦でサヨナラ適時打を放ったことは記憶に新しい。
植田は足を武器に2018年から1軍に定着。限られた出番の中で2018年は19盗塁、昨シーズンは12盗塁を記録した代走の切り札的存在だ。打撃面に課題があり、レギュラー奪取には至っていない。しかし、昨年は少ない打席機会で打率.242(33打数8安打)と最低限の成績を残し、プロ初本塁打も記録している。今年は二遊間でのレギュラー争いに加わりたい。
投手陣では高橋光成(西武)が昨シーズン2ケタ勝利をマークした。規定投球回には到達していないが、チームの優勝に貢献したことは間違いない。今年は自身初の規定投球回に到達したうえでの2ケタ勝利を目指したいところ。他の投手では岩下大輝(ロッテ)、石川直也(日本ハム)らも主力として計算される存在になっている。
高卒組では他に宗佑磨(オリックス)、塹江敦哉(広島)、淺間大基(日本ハム)、安樂智大(楽天)、松本裕樹(ソフトバンク)らが同世代になる。
1996年生まれ世代には、2017年に高卒社会人としてプロ入りを果たした選手もいる。なかでも田嶋大樹(オリックス)と鈴木博志(中日)はともにドラフト1位での入団だ。ここまで確固たる結果を残すには至っていないが、期待されていることは間違いない。開幕1軍入りはもちろん、田嶋は先発ローテーション、鈴木は勝ちパターンに入ることが大目標となる。
2018年のドラフトで入団した大卒組では、東洋大の4人、上茶谷大河(DeNA)、甲斐野央(ソフトバンク)、梅津晃大(中日)、中川圭太(オリックス)が注目の存在だ。このなかで高校時代に甲子園に出場したことがあるのは梅津だけ(仙台育英高2年時)。しかしベンチ入りはしたものの出場機会はなかった。梅津以外の3人は甲子園出場経験がなく、梅津も含め高校時には全国的な知名度はなかった。
それでも4年の時を経て、力をつけプロの世界に飛び込んできた。甲斐野は故障で離脱しており少し心配ではあるが、2年目の今年はさらなる飛躍を期待されている。
また大卒入団組では中山翔太(ヤクルト)、松本航(西武)、小島和哉(ロッテ)、太田光(楽天)、辰己涼介(楽天)らが主力になりつつある。
1996年生まれ世代の多くは今年24歳になる。新卒で例えるとまだ2年目。それにも関わらず、これだけの選手たちがチームで主力を張りつつある。もちろん、これから飛躍する選手も出てくるだろう。
世代トップランナーの座が交代することはあるのだろうか。
文=勝田聡(かつた・さとし)