プロ野球の世界では毎年のように、キラ星の如く大ブレイクする選手が出現する。2019年は村上宗隆(ヤクルト)や高橋礼(ソフトバンク)といった2年目の選手たちが、一気に頭角を現した。同じように2020年にも大ブレイクする選手が出てくるはずだ。
もちろん現時点で誰がブレイクするのかはわからない。そのような中で、投手、野手の大ブレイク候補を挙げてみたい。ここでは新人は除き、プロ2年目以降の選手を対象とした。
野手では、高卒3年目の安田尚憲(ロッテ)が期待大だ。同学年の村上宗隆(ヤクルト)が一足先に大ブレイクを果たした2019年。安田はファームで本塁打と打点の二冠王を獲得。オフにはウインターリーグにも参戦し、2020年シーズンへの手応えを掴んでいる。
三塁はレアードという高い壁がそびえる。一塁には井上晴哉、さらには本来なら外野の清田育宏や角中勝也も内野の練習を行うという。
指名打者制とはいえ、チーム内のライバルたちは手強い。しかし、その先輩たちを乗り越えることができなければ、ブレイクはもちろん、プロの世界で活躍することなどできないだろう。
7月30日の巨人戦(2軍)でZOZOマリンスタジアムのライトスタンド上部にある照明直撃弾を放ったパワーを、今シーズンは1軍の舞台で見せてほしい。
もう一人推したいのが塩見泰隆(ヤクルト)である。大卒社会人3年目となる2020年シーズンは、バレンティンの退団により外野の枠がひとつ空いた。塩見にとっては、またとないチャンスとなる。2軍では打率.310(252打数78安打)、16本塁打、23盗塁と結果を残しており、あとは1軍で結果を残すだけ。
神宮球場で盛り上がるのが、登場曲のG1ファンファーレ(競馬)だけでは少しさみしい。同期のドラフト1位・村上は一気に駆け上がった。塩見にもG1馬級の活躍を期待したい。
■2019年シーズン成績
安田尚憲(ロッテ)
1軍:出場なし
2軍:122試合/打率.258(449打数116安打)/19本塁打/82打点/1盗塁
塩見泰隆(ヤクルト)
1軍:45試合/打率.182(88打数16安打)/1本塁打/7打点/4盗塁
2軍:74試合/打率.310(252打数78安打)/16本塁打/52打点/23盗塁
投手では大卒2年目となる梅津晃大(中日)がおもしろそうだ。ルーキーイヤーは新人合同自主トレ中に右肩を痛め戦線離脱。1軍デビューは8月を過ぎてからだった。しかし、そこから3連勝と頭角を表すと、最終的には4勝1敗、防御率2.34と巻き返している。
投球回数は34回2/3となり新人王の資格は失ったが、それ以上にタイトルを狙えるだけの風格がある。大野雄大、柳裕也と左右の両輪に次ぐ3番手として先発ローテーションをまわすことができれば、自ずと結果はついてくるはずだ。
中継ぎでは漆原大晟(オリックス)に注目だ。漆原は2018年育成ドラフト1位の大卒2年目となる。現時点では支配下登録されておらず、育成契約のまま。大ブレイクを果たすためには、まず支配下登録という最初のハードルをクリアしなければならない。そのハードルを超えることができれば、中継ぎとしての1軍昇格は十分にありそうだ。
1年目は2軍で39試合の登板を果たし23セーブ、防御率3.52と十分な結果を残した。また、このオフはプエルトリコのウインターリーグに参戦中。12月17日(13試合目)の登板を終えた時点で防御率0.77と圧巻の成績を残している。開幕前に支配下登録を勝ち取ることができれば、面白い存在となりそうだ。
2020年シーズン、今はまだ光を浴びていない選手たちのなかから、どのようなスターが誕生するのだろうか。もしかしたら、今後の日本球界を背負うような選手が現れるかもしれない。
■2019年シーズン成績
梅津晃大(中日)
1軍:6試合/4勝1敗/34.2回/奪三振34/与四球11/防御率2.34
2軍:9試合/3勝0敗/30.2回/奪三振30/与四球6/防御率2.05
漆原大晟(オリックス)
1軍:出場なし
2軍:39試合/1勝0敗23セーブ/38.1回/奪三振38/与四球16/防御率3.52
文=勝田聡(かつた・さとし)