あと半年ほどで東京オリンピックが開幕する。その選手選考は大きな注目の的になる。侍ジャパンでは先発投手陣は菅野智之(巨人)、千賀滉大(ソフトバンク)といった2人のエースを中心になるだろう。そして、その2人に続く存在として、また、左のエースとして期待がかかるのが今永昇太(DeNA)である。
1993年生まれの今永は今年27歳になる。プロ野球選手として脂が乗っている時期であり、これまでの実績も申し分ない。そんな今永と同じ1993年生まれ世代(1993年4月2日〜1994年4月1日生まれ)にはどのような選手がいるのだろうか。
昨年11月に行われたプレミア12において、侍ジャパンに選ばれた1993年生まれの選手は今永以外に、中川皓太(巨人)、吉田正尚(オリックス)、そして近藤健介(日本ハム)がいる。
中川と吉田はいずれも今永と同じ、2015年のドラフト会議で大卒選手として指名された。1年目から頭角を現した今永と吉田に対し、中川は遅咲きだった。開花したのは4年目の昨シーズンのこと。開幕から中継ぎで起用され、一時は抑えを任されたほど。自己最多の67試合に登板し、一気に侍ジャパンにまでのし上がった。
一方の近藤は3人より早く、高卒選手として2011年のドラフト会議でプロ入りを果たしている。大卒組がドラフト指名された2015年シーズンに初めて規定打席に到達。即戦力候補として入ってくる同期たちに負けじと、打率.326(435打数142安打)の成績をあげ、ブレイクした。以降は故障がありながらも、首位打者争いの常連になっている。
東京オリンピックの登録メンバーはプレミア12よりも4人少ない24人。そのなかに入ることができるかは開幕からの結果にかかっている。
日本代表には選出されなかったが、今年27歳を迎える働き盛りの世代なので、各球団の主力選手が多くいる。野手では高橋周平(中日)、茂木栄五郎(楽天)、神里和毅(DeNA)らが該当する。
高橋は甲子園未出場の高卒選手としては史上最多の3球団競合でプロ入り。1年目から1軍で起用されながら、徐々に成長。7年目となった2018年に初めて規定打席に到達すると、昨シーズンは故障離脱がありながらも打率.293と結果を残した。現在、チームでキャプテンに任命されており、まとめ役にもなっている。
茂木は大卒、神里は大卒社会人からの入団ということもあり、1年目から即戦力としてレギュラークラスの活躍を見せている。茂木は高校、大学時代に主将の経験はなかったが、今シーズンから野球人生で初めてという主将に任命された。また、神里は中央大時代に主将の経験がある。そのため、筒香嘉智(レイズ)の後釜になるかとも思われたが、1学年下の佐野恵太がその大役を務めている。
その他には高山俊(阪神)、塩見泰隆(ヤクルト)、藤岡裕大(ロッテ)、横尾俊建(日本ハム)らがこの世代となる。
投手では武田翔太(ソフトバンク)、上沢直之(日本ハム)の2人が実績を残している。いずれも甲子園への出場経験はなかったが、2011年のドラフト会議において高卒としてプロ入りを果たした。野手の高橋もそうだが、この世代は甲子園未出場ながら高卒でプロ入りし、活躍しているケースが散見される。
大卒もしくは社会人からプロ入りした選手では青柳晃洋(阪神)や西村天裕(日本ハム)がそう。ちなみにこの2人と塩見は帝京大の同期生でもある。
1993年生まれ世代をひとつのくくりとして売り出しているのが巨人である。先に触れた中川以外にも今村信貴、桜井俊貴、重信慎之介、山本泰寛、田中俊太、増田大輝、若林晃弘、石川慎吾、メルセデスと合計10人が在籍。
「1993年組」として雑誌やテレビ番組で特集されるケースもあり、球団公式グッズも売り出されている。そのグッズには昨シーズン途中で日本ハムに移籍した宇佐見真吾も含まれていた。
しかし、元木大介ヘッドコーチはテレビ番組で1993年世代に対し、「仲良しでやっている時点で…」と釘を刺した。今シーズンは元木コーチを見返すほどの活躍が求められる。
1993年世代は年齢的にも、各チームで主力となりつつある。とはいえ、まだ27歳。もう一伸びが期待される選手が多いのも事実。今年、どれだけの選手がさらなる飛躍を遂げるだろうか。
脂の乗っている1993年世代に注目だ。
文=勝田聡(かつた・さとし)