2月1日、いよいよ春季キャンプが始まる。今年も各球団のキャンプで様々な争いが行われることだろう。そのなかでキャンプでの動向や首脳陣の起用法を注目したい、各球団の選手を取り上げてみた。
昨シーズン15勝を挙げ、投手三冠を獲得した山口俊が、トロント・ブルージェイズへと移籍した。その穴を埋める先発投手が出現するかどうかで、今シーズンの巨人の戦い方は大きく変わってくる。先発投手の補強としては、ドラフト2位で高卒社会人の太田龍、新外国人選手としてサンチェスを獲得した。
なかでもサンチェスは昨シーズン、韓国リーグで17勝をマークした右腕。実力通りに力を発揮できれば、山口の穴は埋まるはずだが、移籍1年目であり日本でのプレーは初めてとなる。どのような成績を残すかは未知の領域。春季キャンプ半ば以降に行われる対外試合での登板で判断することになりそうだ。
一方の太田は2軍スタートが決定。シーズンへ向け、どのようにアピールできるかがポイントとなる。
DeNAはタンパベイ・レイズに移籍した筒香嘉智の不在をどのようにカバーしていくのがポイントとなる。とはいえ、「日本の4番」の穴が春季キャンプですぐに埋まるわけもない。外野のポジションに入る選手はもちろん、その他の主力選手たち全員で補完しあうことが求められる。
そのような状況で注目したいのが、キャプテンにも就任した佐野恵太だ。大卒4年目となる今シーズンはラミレス監督からも4番候補として名前を挙げられており、多くのチャンスを与えられるはずだ。春季キャンプ、オープン戦で持ち前の長打力をアピールすることで道は拓ける。
阪神はジョンソン、ドリスと中継ぎの両外国人投手がそろって退団した。その穴埋めとして新外国人選手のエドワーズ、ガンケル、スアレスの3人を獲得。そのうちエドワーズとスアレスは中継ぎで起用される見込みとなっている。スアレスはソフトバンクで中継ぎの経験はあるものの、昨シーズンは先発で起用されていた。エドワーズは日本では未知数。外国人投手を今の段階で計算するのは少し早い。
現時点では、すでにクローザーが内定している藤川球児、そして岩崎優の2人が中継ぎ・抑えの軸となるだろう。とくに藤川は日米通算250セーブまで、あと7セーブに迫っている。早ければ4月中にも達成は可能な数字。不惑を迎える藤川が中継ぎ陣を引っ張る。
広島は野村祐輔、會澤翼がFA宣言せずに残留。菊池涼介もポスティング申請したものの、MLB移籍が実現せずにこちらも残留となった。そのなかで注目したいのは會澤だ。扇の要ということもあり、投打どちらにも影響を及ぼすその存在は大きい。現在31歳と年齢的にも数年は安泰だろう。
しかし、捕手は育成の難しいポジション。次世代の磯村嘉孝や坂倉将吾、中村奨成らを少しずつ育てていかねばならない。それこそ石原と會澤を併用しながら育ててきたように。佐々岡真司新監督は會澤をどのように起用しながら、次世代の捕手を育成していく道筋をつけるのだろうか。會澤の起用法に注目したい。
大卒3年目の昨シーズンに開花した柳裕也。自己最多の11勝をマークし、初めて規定投球回にも到達した。もちろん今シーズンも先発ローテーションの一角として期待がかけられている。
ただ、昨シーズンの柳は前半戦で9勝を挙げたものの、後半戦は苦しみ7試合白星から遠ざかった。今シーズンは年間を通じて安定したパフォーマンスを発揮することが大事となってくる。いわゆる「2年目のジンクス」的な不調に陥らぬよう、年間を通じて結果を残すことができるか。
昨シーズンのヤクルトは青木宣親、雄平、バレンティンが外野のレギュラー格だったが、バレンティンが退団したことで外野の枠がひとつ空いた。その枠を骨折で離脱期間の長かった坂口智隆、3年目の塩見泰隆や長打力のある中山翔太、さらには山崎晃大朗らが争うことになる。
なかでも注目されるのが塩見である。昨シーズン、1軍では打率.182(88打数16安打)と苦しんだが、2軍では打率.310(252打数78安打)、16本塁打、23盗塁と結果を残している。中堅に塩見が収まれば、今年38歳になった青木が左翼に回ることもできる。
広い守備範囲が求められる中堅の世代交代は塩見にかかっている。
文=勝田聡(かつた・さとし)