「人生100年時代」と言われる昨今だが、そこまで平均寿命が長くなかったはずの昭和の時代に打ち立てられた最年長タイトル記録が、今もいくつか残っている。まずは打撃3部門の最年長記録に触れてみたい。
(※カッコ内の所属球団は記録達成時のもの)
■最年長首位打者:36歳
ミヤーン(大洋) 打率.346(1979年)
クロマティ(巨人) 打率.378(1989年)
リック(楽天) 打率.332(2008年)
最年長首位打者はミヤーン(大洋)、クロマティ(巨人)、リック(楽天)の3人が36歳で並んでいて、いずれも外国人選手だ。ミヤーンはMLBのブレーブス時代に3割を打ったこともあるヒットメーカーで、腰をややかがめてバットを短く持つ独特の打撃フォームを覚えているファンもいるはず。一部では年齢サバ読み疑惑もささやかれており、もしそれが本当ならミヤーンが単独で最年長首位打者ということになるのだが、真相やいかに!?
クロマティの打率.378は、巨人の歴代最高打率でもある。在籍7年間で規定打席に達しての打率3割以上を4回、25本塁打以上を4回記録しており、守備が緩慢な面は玉にキズだが史上最強の助っ人選手と評する人も少なくない。チームに貢献する一打を放ったあと、中堅の守備位置についたときに、ファンと一緒にバンザイをするのがお決まりでもあった。
リックは2008年に首位打者を獲得したが、このときは大接戦。打率を小数点以下5ケタまで出せば、リックは打率.33198で、中島裕之(西武、現・宏之/巨人)が打率.33128。僅差をしのいでのタイトルだった。
■最年長本塁打王:40歳
門田博光(南海) 44本塁打(1988年)
40歳にして44本塁打を放ち本塁打王を獲得した門田博光(南海)は、これが自身3度目の同タイトル。30年以上たった今も更新する者が現れない最年長記録だ。この年は、パ・リーグのMVPだけでなく、ベストナインや正力松太郎賞など多くの表彰を受けている。また、それ以降も33本、31本、18本、7本と、40歳を超えてもスタンドに放り込み続けた。通算567本塁打は、王貞治(868本塁打、元巨人)、野村克也(657本塁打、元南海ほか)に続く歴代3位。
■最年長打点王:40歳
門田博光(南海) 125打点(1988年)
タフィ・ローズ(オリックス) 118打点(2008年)
打点王の最年長記録は40歳で、門田博光(南海)とタフィ・ローズ(オリックス)の2人が記録している。門田にとってはこれが2度目の打点王だったが、1回目は1971年だから18年ぶりの同タイトル獲得となった。上述の最年長本塁打王と同じ1988年に記録しており、この年は最高出塁率(.429)もリーグトップだった。
ローズは、シーズン40本以上を7回記録し(王貞治の13回に次ぐ歴代2位)、本塁打王のタイトルも4回。通算でも歴代13位の464本塁打を放ち、外国人選手としては唯一の400本以上と、本塁打のイメージが強い選手だが、打点王にもこの2008年も含めて3回輝いている。シーズン100打点以上も6回記録しており、抜群の勝負強さを誇った。
文=藤山剣(ふじやま・けん)