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演出音の是非、外国人選手枠の拡大の影響、6タテ発生……非常事態下のプロ野球から見えたこと

文=勝田聡

演出音の是非、外国人選手枠の拡大の影響、6タテ発生……非常事態下のプロ野球から見えたこと

無観客試合の影響は?


 プロ野球は6月19日の開幕から全試合が無観客で行われている。応援団による鳴り物応援はもちろん、観客の拍手や声援もない。それではあまりにも味気ないからなのか、複数の球団ではスピーカーを用いて通常の試合に近い球場内の音を演出として流している。

 しかし、テレビ越しで聞いてもやはり生音ではないからなのか、どうしても微妙な雰囲気になっている感は否めない。

 ロッテの吉井理人投手コーチは自身のブログで

「無観客に慣れたのか、ホームチームが攻撃の時に流す録音された声援や応援の音がものすごく耳障りでした。やはり、本物の声援や応援がいいです。早く、ファンの皆さんと球場で盛り上がりたいです!」

 と書き綴っており、録音された音にどこか違和感を覚えているようだ。

 声援がないことで、その他の音はよく聞こえてくる。バットにボールが当たる音、ボールがミットに収まる捕球音、選手たちの掛け声……普段なら聞こえるはずのない声まで聞こえてくる。

 一方、実況ブースの声がグラウンドレベルに聞こえているという指摘もあった。解説者やアナウンサーの何気ない一言が戦況に影響を及ぼしてしまう可能性もあるため、NPBは各テレビ局へ対策を促す要望を出した。意外なところにも無観客の影響が出ていたようだ。

 また、今シーズンは試合時間が短縮されている。NPBのホームページで確認すると、6月28日までの平均試合時間は3時間5分(9回終了の試合)となっており、昨年の3時間16分から10分ほど短くなった。観客がいないことでイニング間のイベントが行われていないというのが要因のひとつだろう。

外国人枠の拡大で見られた変化


 野球そのものはどうだろうか。今年は特別ルールがいくつも加わった。出場選手登録が29人から31人となり、ベンチ入り人数が25人から26名とそれぞれ増員されている。また、外国人枠は5名(ベンチ入りは4名)となり、延長は12回ではなく10回で打ち切りだ。

 外国人枠の拡大は戦術面で大きな影響を与えている。例年よりも外国人野手3名を打線に並べやすくなったからだ。6月28日の試合終了時点で外国人野手3人をスタメンで揃って起用したのは2球団ある。

 DeNAはソト、オースティン、ロペスと3人の野手を常時スタメンに並べ、中継ぎのパットンと先発のピープルズを1軍の登録。

 ピープルズの先発試合にはパットンをベンチ入りから外すという戦い方を見せている。しかし、6月28日にピープルズを抹消し、中継ぎ左腕のエスコバーを昇格させたことで、これからは違った起用法となりそうだ。

 阪神も6月27日のDeNA戦でマルテ、ボーア、サンズと外国人野手を3人続けて並べてきた。その3人がそろって打点を挙げ、サンズの決勝本塁打で勝利したこともあり、この日に限っては大成功だったといっていいだろう。投手陣も苦しいだけに、今後、矢野燿大監督がどのように考えているか注目が集まる。

 巨人は支配下の外国人野手はパーラとモタと2人いるが、楽天から右のパワーヒッターとしてウィーラーをトレードで獲得した。これも外国人枠が5名となったからこその補強だろう。

 延長10回で打ち切りになったが、ここまで引き分けはセ・リーグの1試合のみ。昨シーズンの9試合終了時点での引き分けは、セ・リーグがゼロ、パ・リーグが3試合だった。現時点では減少傾向にあるようだ。
(編集部注・6月30日の日本ハム対ソフトバンクの試合が引き分けとなった)

開幕直後の6連戦で早くも6タテが発生


 日程面でも大きな変化がある。今年は120試合制となり、CSについてはセ・リーグは中止となり、パ・リーグはシーズン1位チームと2位チームの対戦のみに短縮された。日程面を見ると、両リーグともに開幕カードの後はしばらく6連戦が組まれている。また、パ・リーグは同一カードによる6連戦が続いていく。

 そのパ・リーグでは開幕直後の6連戦で早くもオリックスがロッテに6タテを喫してしまった。3連戦での区切りがないため、選手や監督たちの切り替えがむずかしいのかもしれない。

 苦手意識を持つと一気に潰されてしまう。8月末まで組まれている同一カード6連戦をどのように乗り越えていくかが、パ・リーグを制する鍵となりそうだ。

 一方のセ・リーグはCSがない。優勝を狙うしかないため、シーズン中盤に順位がはっきりしてくると戦い方が変わってくることになりそうだ。ここ数年よりは早くに来年以降へ向けた若手の起用が見られることが予想される。

 セ・リーグでCSのないシーズンを監督として経験しているのは、巨人の原辰徳監督ひとりだけ。その部分で経験の差がでてくるかもしれない。

(※成績は6月29日現在)

文=勝田聡(かつた・さとし)

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