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《2016ドラフト会心の指名》ソフトバンク3位・九鬼隆平(秀岳館高)が捕手不足を解消する!


 歓声やどよめきに包まれながら終了した今年のドラフト会議。

 順当な指名、サプライズ指名に沸くなか、ひいき球団の指名選手、ライバル球団の指名選手に、いろいろと思うところがあったのではないだろうか?

 週刊野球太郎では、4週・全8回に渡って、週刊野球太郎編集部とライター陣が、「よくぞ指名した!」と考える「会心の指名選手」を紹介していく特集を連載。

 名づけて「野球太郎ライター大推薦! 俺たちのドラフト会心の指名」。

 最終回となる今回は、ライター藤山剣氏による「会心の指名」を以下に紹介しよう。

プロ野球界は深刻な捕手不足


 これはもう全球団が抱える問題と言っていいだろう。そう、球界はかつてないほどの深刻な捕手不足に陥っているのだ。今季の規定打席到達捕手は、12球団で、なんと小林誠司(巨人)ただひとり。しかもその小林も、打率はセリーグ最下位の.204。阿部慎之助の捕手復帰論がいつまでもくすぶり続けるはずである。

 先日の侍ジャパンの強化試合でも、4戦中2戦でスタメンマスクをかぶったのは、初召集だった大野奨太(日本ハム)。サヨナラ打を放ち、盗塁も阻止するなど活躍したが、所属の日本ハムでは市川友也との併用で、決して鉄板のレギュラーというわけではない。


会心の指名はソフトバンク3位・九鬼隆平(秀岳館高)


 どこの球団も捕手は欲しい。しかし、ドラフトとなると、やはり優先されるのは投手だ。今年のドラフトでも、12球団の2位以内の指名選手24名のうち、20名までが投手だった。

 上位指名が投手に偏るなか、12球団最上位の3位で捕手・九鬼隆平(秀岳館高)を指名したのがソフトバンク。これ以上遅いとどこかに取られていたかもしれない絶妙のタイミング。それだけ評価が高かった捕手だ。

 1位で田中正義(創価大)の交渉権も抽選により勝ち取っており、今回はソフトバンク陣営の戦略がズバリとはまった会心のドラフトとなったのではないだろうか。

代表でも多くの投手陣をまとめ上げた


 九鬼の持ち味は、まず、好捕手の必須アイテムである強肩。そして、秀岳館高特有のノーステップを駆使した対応力の高い打撃。高校通算本塁打は21本で、パワーだけでなく上手さも兼ね備えている。しかも俊足でもある。

 秀岳館高は、昨年の春夏の甲子園でベスト4に進出したが、九鬼は、「4番、捕手、主将」という、まさにチームの大黒柱として大躍進に貢献した。

 さらには8月の終わりから9月にかけて台湾で行われたU-18アジア選手権でも、「4番、捕手」として日本代表をまとめ上げ、優勝に導いた。いろんな高校から個性の強い選手が集まる急造チームで、初めて球を受ける投手がほとんどだったにもかかわらず、持ち前の観察力、洞察力でしっかりとリードした。

 大会後の表彰では、打撃の調子がイマイチだったこともあってベストナインからは漏れたが、「最優秀守備選手」に選出されている。

 ちなみに、九鬼の父・義典さんは、あの蔦文也監督時代の池田高野球部のOB。4度の甲子園出場経験があり、2年時(1986年)のセンバツでは控え捕手ながら優勝。3年時(1986年)のセンバツでは正捕手としてベスト4まで進出したバリバリの高校球児だった(現在はパナソニック野球部のブルペン担当兼アナリスト)。

 九鬼が甲子園や代表戦で見せた勝負強さは、蔦イズムのDNAが成せる業だったのだ。


来季のソフトバンクの正捕手争いは面白い


 来季のソフトバンクの捕手事情は、中心選手だったベテランの細川亨が退団したことにより、大きく様変わりしそうだ。九鬼を獲れたから細川を放出したのか、細川の放出を決めていたから九鬼を獲りに行ったのか、そのあたりは定かではない。

 いずれにしても、来季開幕時は、これまでの実績から鶴岡慎也と高谷裕亮をいわゆるツープラトンで起用していくことになるだろう。そこに高卒ルーキーの九鬼がどこまで食い込めるか。

 もちろん、斐紹や拓也といった1軍経験のある若手も黙っていないだろうし、2014年ドラ2の栗原陵矢、2015年ドラ3の谷川原健太らも、かなりの危機感を覚えているはずだ。

 ソフトバンクで活躍した高卒キャッチャーといえば、誰もが思い浮かべるのは城島健司だろう。高校通算70本塁打を記録した城島でも、1年目は9試合、2年目は17試合の出場で、レギュラーに定着したのは3年目から。

 九鬼が来季、1軍で10試合以上出られれば、先々はともかく、ルーキーイヤーの城島を上回ることになる。春のキャンプからぜひとも注目しておきたい。


文=藤山剣(ふじやま・けん)

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