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チームの悪しき伝統を変えた!? 若き力が次々と出現する阪神の「超変革」総まとめ


「阪神は若手が育たない」

 昨年までの阪神にはこのような声が多く聞こえていた。FAなど他球団からの補強、期待の選手が伸び悩む……。閉塞感というのか、澱んだ空気が漂っていたのは事実だろう。

 その空気を一変させたのは、金本知憲監督の就任だった。金本監督は「超変革」をスローガンに掲げ、チーム改革に着手。掛布雅之2軍監督と密な連携を図り、積極的に若手を起用して競争意識をあおっている。

 そんな今季の阪神若手選手の活躍を振り返りたい。

「1番・高山、2番・横田」の開幕戦スタメン起用


 金本監督がその姿勢を強く打ち出した象徴となったのが、3月25日の開幕戦での「1番・高山俊、2番・横田慎太郎」のフレッシュな1・2番コンビだった。特に高山は東京六大学リーグの通算安打記録を更新したその打撃センスを見せつけ、トップバッターに定着。

 また、途中からは横田に代わりプロ2年目・江越大賀がセンターに入ると、中軸を任されるなどチーム内の競争が活発化している。5月に入り高山の成績が落ち始めると、今度は同じルーキーの板山祐太郎を起用した。

 内野陣も若い力が台頭する。プロ4年目・北條史也は初の開幕1軍を果たすと、4月3日のDeNA戦に代打で登場し、プロ初本塁打を放った。5月22日の広島戦では「1番・セカンド」で初めて1番打者に抜てきされると、猛打賞と定位置獲得に猛アピール。

 プロ3年目・陽川尚将は4月に初めて1軍昇格し、プロ初出場となった4月15日の中日戦で初安打を記録。4月29日のDeNA戦ではプロ初本塁打を放つも、その後は打撃不振に陥り、残念ながら5月下旬に登録抹消されてしまった。

投手陣では岩貞祐太が躍動


 野手陣で若い力が台頭するなか、投手陣ではプロ3年目・岩貞祐太が先発陣を引っ張っている。

 昨年までわずか2勝だった岩貞は、昨年のシーズンオフに台湾で行われたウインターリーグで投手MVPを受賞。その良い流れで臨んだ今季は、4月2日のDeNA戦で初先発。横浜商科大時代にリーグ戦で登板した横浜スタジアムで、7回無失点と力投して今季初白星を挙げる。

 4月16日の中日戦では10奪三振で2勝目をマーク。12奪三振で敗れた4月9日の広島戦を含めて、開幕から3試合連続の2ケタ奪三振と、プロ野球記録を達成した。

 敵地・東京ドームで行われた5月27日の巨人戦では1対0でプロ初完封と好投。現在はチームに必要不可欠な左腕として活躍を続けている。


育成出身の原口が正捕手に


「超変革」の流れは捕手の起用にも表れている。

 開幕直後からスタメンで出場したのはプロ12年目の岡崎太一だった。現役時代から岡崎の野球への真摯な取り組みを知る金本監督は、岡崎の力を評価して春季キャンプでも1軍に抜てき。岡崎もその期待に応えようと奮闘し、阪神の開幕ダッシュを陰で支えた。

 5月に入ると、4月下旬に育成選手から支配下登録されたばかりの原口文仁を起用。5月19日の中日戦では、自身初のサヨナラヒットを放つなどバットでも活躍。最近では5番打者に定着し、飛躍の年を迎えようとしている。

 さらに交流戦を迎えると、6月1日の楽天戦では、ドラフト5位ルーキーの青柳晃洋をプロ初先発させた。ウエスタン・リーグでは11試合に登板し、防御率2.81と結果を残したことが評価され、チャンスが与えられた青柳。見事にプロ初登板初勝利を飾るなど、結果を残した。

 今後も若手を積極的に起用する阪神の「超変革」に注目したい。


文=武山智史(たけやま・さとし)

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