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これぞ社会人野球選手! 都市対抗に出場する味わい深い3選手を見逃すな!

「一難あり」の実力派

 いい選手なんだけど、プロに行くには「一難あり」な選手が社会人にはいる。プロに挑戦するよりは、社会人で10年プレーした方が幸せになれるタイプ。でも、プロで渋く活躍する可能性がないとは言い切れない……。「アマチュア以上プロ未満」と言いたくなるような、味わい深い中堅どころの選手たちを紹介したい。いずれの選手も7月18日に開幕する都市対抗野球に出場するので、ぜひ大舞台での活躍を見守ってほしい。

☆吉田潤(東芝)/二塁手

 相手投手がリズムに乗りかけたところで、狙いすましたかのようなホームランを放つ。決勝打というよりは、相手の息の根を止めるような一打が多い。「9番ではもったいないな」と思っていたら、今年は一時期4番を任されていた。さすがに4番だと荷が重いか、2打席連続フォークを空振り三振していたが、第3打席には不格好な打ち方でもライト前ヒットにするなど、タダでは終わらない。

 守りも堅実。ピンチの場面で難しい打球が来ても、間一髪でアウトにしてくれる。吉田の二塁手の守備で、一打逆転のピンチを切り抜けたことは数知れず。


 プロで中軸を任せられるような強さはないし、圧倒的なスピードもない。それでも必ずと言っていいほど、勝負の節目に絡んでくる。長丁場のリーグ戦で能力を競うよりは、トーナメントで実戦力を発揮した方が生きるタイプなのだろう。

☆井貝星良(東海理化)/三塁手

 彼のプレーを見ているだけで気持ちが昂る。1つひとつの動きからも「コイツ、本当に野球が好きなんだろうな」と感じる。

 三塁線の強い当たり逆シングルで捕球して、一塁へノーバン送球。アウトになると全身で喜びを表現する。一番の武器はミート力。インステップする左投手にも体を開かず、しっかりとセンター前にはじき返す。甘い球なら芯でとらえてファースト強襲打に。打てばもちろん全力疾走。早いカウントからスパッと走れる脚力もある。


 唯一にして最大の課題は、無死一塁でのバッティング。反応でミートする好打者の宿命か、俊足の左打者にしては併殺打が多い。プロでは進塁打を求められるタイプに分類されてしまうだろうから、むしろ社会人で主軸を打っていた方がいいかもしれない。右では宮崎敏郎(セガサミー〜DeNA)、左なら藤澤拓斗(西濃運輸〜中日)と、この手の「アンダーサイズな強打者」は、プロでの置き場に困ることが多い。

 遊撃が守れたら話は別なのだが、井貝はよくも悪くも三塁手が似合いすぎる。無理やりほかのポジションをやらせて「ずんぐりした藤田一也(楽天)」に仕立てても、プロの好みのタイプからは大きく外れる。

 プロへ行くには少々足りない部分もあるけども、井貝の元気なプレーを目の当たりにすれば「見に来てよかった」と思えるはず。チームは都市対抗予選で敗退したが、永和商事ウイングの補強選手に選ばれた。東京ドームで躍動する姿をぜひ見てほしい。

☆池田祥大(ヤマハ)/外野手

 右投左打で俊足の外野手。プロ入りするのに最もハードルの高いジャンルで、しかも大卒4年目。なかなか難しい立ち位置ではあるが、今年からバッティングが劇的に変わった。クラウチングスタイルからホームベース上でバットをゆさゆさ揺らし、低めの球をアッパースイングでセンターにはじき返す。雰囲気はメジャーの1番打者。足の速い黒人選手のような一挙手一投足が実におもしろい。

 残念ながら強打のヤマハで1番を打ち続けるだけの安定感はない。時には9番に下げられたり、スタメンから外れたりもする。50メートル5秒台の脚力がありながら、確実に盗める技術があるかとなると、少々疑わしい。とはいえ、社会人特有の「負けられない野球」の中で、1人だけ「メジャーの香り」を発散する池田は目立って仕方ない。「二匹目の赤星(憲広・JR東日本〜阪神)」ではなく「二匹目のモーガン(元DeNA)」として獲ってみるのもありなのでは。ただしモーガンほど愉快なキャラではないので、悪しからず。



■ライタープロフィール
久保弘毅(くぼ・ひろき)/1971年生まれ、奈良県出身。元アナウンサーという異色の経歴を持つスポーツライター。得意技は実況風ライティング。ハンドボールライターの第一人者でもある。ブログ「手の球日記(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/handjpn/)」

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