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『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』で知る、独立リーグの世界

 12月11日、契約更改で派手な数字が踊る中、こんなニュースがスポーツ紙の片隅に記されていた。

「BCリーグ大家、ナックル習得で米復帰へ」

 今季はBCリーグ・富山でプレーした元大リーガーの大家友和投手に、メジャー3球団からマイナー契約のオファーがあることがわかったのだ。実現すれば、5年ぶりに米球界に復帰することになる。

 このニュースに対してネット上では「大家、懐かしい〜」、「まだ続けていたんだ!」といった声も聞こえたが、『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』を読めば、今の大家がどんな状況にあり、どうやってメジャー復帰への道を歩んだのかを知ることができる。そこで今回は、大家をはじめ、著者でもある木田優夫自身が今季所属した独立リーグ「BCリーグ」の現状を本書からおさらいしてみたい。



BCリーグとは?


 BCリーグ(ベースボール・チャレンジ・リーグ)は、北陸・信越地方5県と関東地方1県を活動地域とするプロ野球の独立リーグだ。「投手兼営業」という肩書きで木田優夫が所属した石川ミリオンスターズ以外にも、富山サンダーバーズ、福井ミラクルエレファンツ、信濃グランセローズ、新潟アルビレックス、群馬ダイヤモンドペガサスの計6チームで覇権を争っている。

 そして今季、BCリーグを制したのが、木田が所属した石川ミリオンスターズ。さらに、四国アイランドリーグplus年間王者である徳島インディゴソックスとのグランドチャンピオンシップでも石川が見事勝利をおさめ、独立リーグ日本一に。我らが木田優夫が胴上げ投手に輝いている。

西武を支えたセットアッパーは今


 その石川を率い、日本一に導いた「名将」が、西武のクローザー・セットアッパーとして活躍し、2002年と2003年に2年連続で最優秀中継ぎ投手にも輝いたことがある森慎二だ。森は2005年オフにポスティングシステムでメジャーリーグ挑戦を表明、タンパベイ・デビルレイズと2年契約を結んだ。ところが、初登板したオープン戦で右肩を脱臼し、一度もメジャーのマウンドに立つことがないまま、契約を解除されてしまった。

 その後、懸命のリハビリを続けた森は、2009年にBCリーグ・石川ミリオンスターズの選手兼任投手コーチに就任。8年もの歳月をかけてBCリーグの公式戦で投げられるまでに回復しという。しかし、ただ投げるだけでは満足はしない。《僕(木田)と森監督の目標は、二人とも150キロを投げられる身体になってまたNPBに戻ること》……その目標に向かって、チームとともに己も鼓舞する日は続く。



WBC初代胴上げ投手は今


 2006年の第1回WBCに日本代表として出場。決勝戦の8回、9回に登板し、WBC初の胴上げ投手に輝いた大塚晶文を覚えているだろうか。近鉄時代の1998年には最優秀救援投手にも輝いた大塚は、MLBテキサス・レンジャーズ時代の2007年に右ヒジを痛めて退団。以来、5度の手術と6年のブランクを経て、今年、信濃グランセローズに入団するに至った。

 結局、今季の登板は叶わなかったが、シーズン終了後には信濃グランセローズの新監督に就任することが発表された。来季は、選手兼監督兼投手コーチの一人三役をこなすことになる。



メジャー通算51勝の男は今


 そしてもう一人、本書で登場する「BCリーグで活躍する元メジャーリーガー」が、冒頭でも紹介した大家友和だ。メジャー5球団を渡り歩いた男は、2010年に横浜ベイスターズで日本球界に復帰するも、右肩を壊して2011年に戦力外通告を受けることになる。

 しかし、大家が凄いのはここから。1年のリハビリ期間を経て今年4月に富山サンダーバーズと契約。そしてマウンドに戻ってきたのが、「ナックルボーラー」に変貌を遂げた大家だったのだ。まだナックルを投げ始めて1年ちょっと。そんな男が日本の独立リーグからMLBに挑戦するとは、なんとも夢のあるストーリーではないだろうか。



BCリーグと木田優夫のこれから


 12月9日、石川県である記者会見が開かれた。来季もBCリーグの石川でプレーすることを決断した木田優夫が、来年1月以降、GM兼任で活動していくことを表明したのだ。自身のブログでは、次のように決意表明をしている。

《投手としての目標はNPB復帰ですが、GMとしての目標も、1人 でも多くの選手をNPBやMLBに送り出す事です。(中略)金沢は夢を抱く街です。夢を抱いた選手がプレイして、試合前、試合後、勿論、試合中もイベントなどを充実させて、日常と違う空間を提供して、夢のある球場にして行きたいと思います》

 このように、元メジャーリーガーが多数活躍し、年々注目度が高まっているのがBCリーグだ。先日、2015年シーズンからの参戦予定で、埼玉県を本拠地とする新チーム「埼玉県民球団(仮称)」の設立準備室が開設されるなど、その勢いはさらに増していると言えるだろう。また、毎年ドラフト指名される選手が生まれたり、昨季まで西武に在籍していたクリス・カーターが石川でのプレーを経て、今季途中に再び西武に戻ったりと、NPBへの人材供給という意味でも、その意義はどんどん高まっている。

 プロ野球の底辺拡大、そしてセカンドキャリアの形成を考える上でも、本書を通して改めてBCリーグの存在意義を確かめてみてはいかがだろうか。

『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』は新紀元社から好評発売中です。




文=オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。また「幻冬舎WEBマガジン」で実況アナウンサーへのインタビュー企画を連載するなど、各種媒体にもインタビュー記事を寄稿している。ツイッター/@oguman1977

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