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セ・リーグが近年稀に見る大接戦!歴代プロ野球の1位から最下位「最小ゲーム差」は?

 6月23日、プロ野球史上初の珍事が発生した。なんとセ・リーグの全球団が貯金ゼロの「貧乏球団」となってしまったのだ。その原因は、毎年のようにパ・リーグに圧倒される交流戦。今年もセ・リーグはパ・リーグに全108試合で44勝61敗3分けと17個の借金を作ってしまった。11回の交流戦で10回の勝ち越しを決めたパ・リーグ勢の高笑いが聞こえてきそうだ。

 その結果、23日の時点でセ・リーグは首位・巨人から6位・広島までわずか2.5ゲーム差。7月2日試合終了時で再び全球団貯金ゼロとなり、6位・中日は少し話されてしまったものの、1位から5位までが1.5ゲーム差以内にひしめく、史上稀に見る大接戦となり、各チームはここが正念場と意気込んでいる。

 このまま各チームが接戦を繰り広げれば、まさにケガの功名、大盛り上がりのシーズン終盤を迎えることになりそうだ。

 そこで今回、歴代プロ野球の大接戦のシーズンを調査した。

1位から最下位までわずか6.5ゲーム差。大接戦すぎて暴動も…!?


[1973年セ・リーグ] ※右側の数字は1位とのゲーム差
巨人 ………優勝
阪神 ………0.5
中日 ………1.5
ヤクルト …4.5
大洋 ………5.0
広島 ………6.5

 1973年、巨人がV9を達成したこのシーズンのセ・リーグはプロ野球史上に残る大接戦シーズン。1位の巨人から最下位の広島まで6.5ゲーム差と最後の最後まで勝負の行方はわからない、熱狂のシーズンだった。

 巨人の王貞治が三冠王を獲得すると、阪神も田淵幸一が37本塁打と気を吐く。中日のスピードキング・高木守道、大洋のジョン・シピン、江尻亮、ヤクルトは若松勉、安田猛、広島は山本浩二……と各球団にタレントがあふれ、まさに一進一退の攻防を演出した。

 10月22日、甲子園で行われた阪神vs.巨人の最終戦まで勝負はもつれ込み、「勝った方が優勝」という正真正銘の優勝決定戦になった。

 1964年以来となる9年ぶりリーグ優勝を期待し、甲子園にはあふれんばかりの阪神ファンが集結したが、阪神は1回から2点を失うと、その後も失点を重ね、なんと結果は0−9の大惨敗。試合途中から缶やビンが飛び交い、審判が警告を発する荒れた展開となった。

 巨人の先発・高橋一三が最後の打者を三振で締めたと同時に、怒る虎党がグラウンドに大量乱入。阪神の選手一同は早々に逃げる準備を始めており、試合終了と同時に退散。難を逃れたが、酔客たちは優勝した巨人ベンチにも襲い掛かり、王は観客に下駄で殴られ、コーチの国松彰はメガネを取られるなど、散々な優勝決定試合となった。

 そのため、この年はリーグ優勝の胴上げなし。あまりに過激な事件だったため、当時の映像はほぼお蔵入り。巨人のV9をメディアが振り返るとき、なぜかメインであるはずの「胴上げシーン」がないのは、こうした裏事情があったからなのだ……。ちなみに、この暴動で、読売テレビの機材は完膚なきまでに破壊されたという。(阪神びいきで知られるサンテレビの機材は無事)

 ちなみに、この日はイチロー(マーリンズ)がこの世に生を受けた日でもある。

瞬間最高視聴率67パーセント!巨人と中日の最終決戦「10.8」


[1994年セ・リーグ]
巨人 ………優勝
中日 ………1.0
広島 ………4.0
ヤクルト …8.0
阪神 ………8.0
横浜 ………9.0

 この年のセ・リーグは終盤戦が熱かった。開幕から絶好調で、早々とマジックが点灯した巨人を追って、8月から残りの5チームが猛追を開始。最大10.0ゲーム差を付けられていた中日が巨人の尻尾をつかんだ。このシーズンも、10月8日に行われた、中日vs.巨人の最終戦が優勝決定戦となった。

 ナゴヤ球場で行われた試合は槙原寛己、斎藤雅樹、桑田真澄の先発三本柱を豪華リレーでつぎ込んだ巨人が6−3で勝利。見事に優勝を手にした。

 この「10.8」は、当時巨人の監督である長嶋茂雄監督が「国民的行事」と謳ったように、日本中の注目を集め、今もプロ野球中継史上最高の視聴率48.8パーセント、瞬間最高視聴率67パーセントの脅威の数字を記録した。

 またこの日は「1973年暴動の再来」を恐れて、愛知県警も厳戒態勢。機動隊の出動準備も整えていたが、大きなトラブルはなく、巨人は無事、敵地で長嶋茂雄監督を胴上げした。

日本ハムの急失速で混戦となったパ・リーグ「最」接戦


[1998年パ・リーグ]
西武 …………優勝
日本ハム ……3.5
オリックス …4.5
ダイエー ……4.5
近鉄 …………5.0
ロッテ ………9.5

 パ・リーグで最もゲーム差が小さかったのが、1998年のシーズン。前半戦は日本ハムのビッグバン打線が爆発し、最大で貯金23の独走態勢だったが、オールスター明けから急失速。最後には最大10.0ゲーム差をつけられていた西武が巻き返し、オリックス、ダイエー、近鉄とともに優勝を狙う終盤戦となった。

 また、この年のパ・リーグが史上最小ゲーム差となったのは、ロッテの奮闘もあるだろう。6〜7月にかけて、プロ野球ワーストとなる悪夢の18連敗を喫したものの、ブライアン・ウォーレンの加入などもあり、最終的には61勝71敗3分にまで持ち直した。


 これから真夏を迎え、さらに白熱しそうな今年のセ・リーグ。最後の最後まで目が離せない展開に期待したい。

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