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《ヤクルト、巨人編》即戦力・大卒ドラ1投手の誤算が響き、理想のローテーションを組めず……


 9月に入りペナントレースも大詰め。CS争い、優勝争い、そして、各タイトル争いの行方に目がむく季節となってきた。また、秋のドラフト会議でどの球団が誰を指名するのか、そろそろ思いを巡らせているファンも多いだろう。

 週刊野球太郎では、9月から10月にかけての週刊連載として今季のルーキーの働き具合をチェック。2015年シーズンの上位チームから順に、12球団のルーキーの成績を振り返ってみたい。

 今回は2015年のセ・リーグ上位2チーム、ヤクルト、巨人のルーキーを取り上げる。

(※成績は8月28日現在)

◎ヤクルト

【ドラフト1位】原樹理(投手/東洋大/右投右打)
13試合:2勝8敗/防御率5.91/投球回67/33奪三振/25与四球/5与死球

 真中満監督のガッツポーズ、から一転してハズレ判明。昨年のドラフトで一番盛り上がった名(迷?)場面の直後に、ハズレ1位で指名したのが東洋大のエース・原樹理だった。

 原は開幕ローテーションに入るもののなかなか白星を挙げられず、初白星は5月1日。しかし、その後は今ひとつの内容で2軍落ち。復帰初戦で故障を発症。ドラフト1位の働きをすることはできなかった。


【ドラフト2位】廣岡大志(内野手/智辯学園高/右投右打)
《2軍》87試合:打率.214(350打数75安打)9本塁打/40打点/0盗塁/120三振/21四球

 ドラフト2位はヤクルトのお家芸ともいえるショートの指名だった。長距離砲としての期待がかかる廣岡は2軍でそのパワーを見せつけ、高卒1年目から9本塁打と結果を残している。しかし、気になるのは三振の多さだ。383打席で120三振はおよそ3.19打席に1回の割合で三振していることになる。

 チームの先輩達の1年目の三振の数はどうだったのか。調べてみると川端慎吾は316打席で58三振、山田哲人は460打席で56三振と少ない。他球団を見てみると1年目の大田泰示(巨人)が424打席で123三振。三振が多いと言われていた当時の大田を上回る、廣岡の勢いに驚かされる。来年以降、三振を減らすことができるか注目だ。

【ドラフト3位】高橋奎二(投手/龍谷大平安高/左投左打) 《2軍》1試合:0勝0敗/防御率0.00/投球回3/3奪三振/0与四球/0与死球

 平安のライアンこと高橋は2軍で1試合しか登板していないが、その登板で輝きを見せた。3回無失点3奪三振でパーフェクト投球を披露したのだ。初球は全てストライクから入り、制球もよかった。足を高く上げる特徴的なフォームも強制されておらず、1軍に上がれば“神宮の左のライアン”が見られそうだ。

【ドラフト4位】ジュリアス(投手/高知中央高/左投左打)
《2軍》1試合:0勝0敗/防御率18.00/投球回1/0奪三振/0与四球/1与死球

【ドラフト5位】山崎晃太朗(外野手/日本大/右投左打)
7試合/打率.167(18打数3安打)/0本塁打/0打点/1盗塁/8三振/1四球

【ドラフト6位】渡邉大樹(内野手/専大松戸高/右投右打)
《2軍》61試合:打率.263(99打数26安打)2本塁打/8打点/2盗塁/25三振/8四球

 ドラフト5位の山崎はオープン戦で1軍帯同も初昇格は7月31日だった。ライトでスタメン出場を果たしたが、レギュラー争いは来年か。ジュリアスは来年1軍登板できるよう体を作りこむ。渡邉は3年後のレギュラー争いを期待したい。

巨人


【ドラフト1位】桜井俊貴(投手/立命館大/右投右打)
1試合:0勝1敗/防御率8.31/投球回4.1/5奪三振/1与四球/1与死球

 即戦力ルーキーとして期待され開幕2カード目の先発を任された桜井。その登板でプロの洗礼を浴び5回途中でノックアウト。その後右ヒジ痛のため2軍で調整を進めている。3軍の試合には復帰しており投げられる状態まで回復はしているが、戦力としての1軍復帰はまだ難しい。即戦力となることはできなかった。

【ドラフト2位】重信慎之介(外野手/早稲田大/右投左打)
18試合:打率.190(58打数11安打)0本塁打/2打点/0盗塁/16三振/4四球

 開幕1軍を果たすが開幕カード後に登録抹消。5月に1軍復帰してからはスタメンで起用されるも長くは続かなかった。ただ、59打席で3本のスリーベースを放つなど快足を見せた。橋本到、亀井善行、松本哲也、立岡宗一郎など、左打ちの外野手かつ中距離ヒッターが巨人には多いので、競争を勝ち抜くための武器である足をさらに磨きたい。

【ドラフト3位】與那原大剛(投手/普天間高/右投右打)
《2軍》4試合:1勝1敗/防御率2.25/投球回8/7奪三振/2与四球/0与死球

【ドラフト4位】宇佐見真吾(捕手/城西国際大/右投左打)
《2軍》34試合:打率.197(76打数15安打)0本塁打/3打点/0盗塁/16三振/7四球

【ドラフト5位】山本泰寛(内野手/慶應義塾大/右投右打)
27試合:打率.256(78打数20安打)0本塁打/2打点/0盗塁/20三振/2四球

【ドラフト6位】巽大介(投手/岩倉高/左投左打)
《2軍》4試合:0勝0敗/防御率3.38/投球回8/2奪三振/2与四球/2与死球

【ドラフト7位】中川皓太(投手/東海大/左投左打)
(2軍)11試合:4勝1敗/防御率2.84/投球回25.1/19奪三振/10与四球/1与死球

【ドラフト8位】松崎啄也(捕手/日本製紙石巻/右投右打)
《2軍》5試合:打率.214(14打数3安打)0本塁打/1打点/0盗塁/2三振/2四球

【育成8位】長谷川潤(投手/石川ミリオンスターズ/右投右打)
1試合:0勝1敗/防御率7.71/投球回4.2/2奪三振/1与四球/0与死球

 ドラフト5位の山本は、クルーズ、片岡治大の離脱した結果でもあるが、今シーズン中にセカンドのレギュラー争いに加わるとは思わなかった。来シーズンは上位打線を担う可能性も十分にある。

 捕手の宇佐見、松崎は小林誠司に次ぐ2番手争いに加わりたい。

 育成8位の長谷川は支配下登録を勝ち取り、先発ローテーションの谷間とはいえ1軍登板を果たした。5回途中での降板となったが2軍では好投を続けている。次回のチャンスをしっかりとものにしたい。

 與那原、巽の高校生組は来季も2軍で結果を残せば、2年後の1軍への切符も夢ではない。大卒の中川は来年が勝負の年となる。


 ヤクルト、巨人はともに即戦力として獲得したはずのドラフト1位が機能せず先発スタッフの構築が苦しくなった。その影響で両チームのローテーションが崩れた感は否めない。

 即戦力投手の見極めはどのチームも大事だということだ。今年のドラフトは投手が豊作と言われているが果たしてどうなるのか。今から楽しみだ。


文=勝田 聡(かつた さとし)

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