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阪神「超変革」の誤算とうれしい誤算。金本・阪神の前半戦を振り返る



 「超変革」。

 そう簡単なことではない!

 前半戦の戦いを見て、誰もが思い知らされたに違いない。

 阪神・金本知憲監督がスローガンとして掲げた「超変革」だが、チームを根底からひっくり返す覚悟で変革することが「超変革」の意味するところ。

 「もっと長い目で見なければいけない」。これは誰もが承知していることであるはずだ。

 「勝つか負けるか、打てたか打てなかったか」。しかし、現実には、このようにその日の試合結果で金本監督の手腕は評価され、超変革が少しでも進んだかどうかを検証されることはほとんどない。

 そこで前半戦を振り返り、「超変革」のここまでの誤算と、逆にうれしい誤算についても考察してみた。


鳥谷敬の攻守に及ぶ大スランプ


 宜野座キャンプまでは順調にきていた。

 鳥谷敬キャプテンを中心に、これまでの阪神のキャンプではみられなかった、元気のよさと活気がそこにはあった。

 鳥谷がチームを変える!

 金本監督の思い通りの展開だった。

 しかし、シーズンに入り、鳥谷は打撃不振に苦しみ、守備でも精彩を欠いた。いつのころからか、はつらつとした表情が鳥谷から消えた。

 鳥谷自身もまさかの展開だったに違いない。キャンプではキャプテンとしての責務を十分に果たした。そのまま開幕後も金本監督の期待に応えるはずだった。

 ところがチームを引っ張るどころか、ナインの足を引っ張る試合が目立つことに。

 金本監督の「超変革」の誤算が、鳥谷の攻守の大スランプに起因することになるとは、シーズン前には誰も予想しなかったことであろう。


育成枠からオールスター出場まで一気に駆け上がった原口文仁


 逆に「超変革」のうれしい誤算といえば、育成枠からレギュラー捕手の座をほぼ手中に収めた、原口文仁の出現だろう。

 シーズン当初から見られた若手の積極起用が功を奏し、一夜にしてシンデレラボーイを誕生させることにつながったのは、「超変革」が着実に進んでいることを意味している。

 初のオールスター出場にもほぼ当確ランプを灯し、捕手にとって最も大切な経験というエキスも今夏、注入される。

 阪神の打てる捕手といえば、矢野燿大(現・バッテリーコーチ)以来。このまま原口が故障することなく順調に育ってくれれば、捕手は向こう10年安泰となり、まさに「超変革」の成果が出たといえるだろう。

 原口効果は、ファームで上を目指す選手たちにとっても刺激になっていることは言うまでもない。

 掛布雅之2軍監督が推す選手に、1軍の試合ですぐにチャンスを与えるシステムは、チーム内を活性化させる原動力となる。

 1軍での目先の結果にこだわらなければ、「第2の原口」を生み出すシステムと成りえるのだ。


金本監督の中にある大きなチーム構想


「福留とメッセ以外は、持っている力の半分も出し切っていない! もっとできるはず!」

 金本監督が交流戦最後の試合後に述べた、後半戦に向けてのメッセージである。

 この言葉の意味するところは「選手個々が最高のパフォーマンスを試合で発揮できるようになるまで我慢するから頑張れ!」と解せなくもない。

 「超変革」を掲げたときから、金本監督のなかには、計り知れない大きなチーム構想があるはず。

 後半戦で、将来の“強いタイガース”をつくるための戦いぶりを見極めたい。


文=まろ麻呂
企業コンサルタントに携わった経験を活かし、子供のころから愛してやまない野球を、鋭い視点と深い洞察力で見つめる。「野球をよりわかりやすく、より面白く観るには!」をモットーに、日々書き綴っている。

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