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“頑張れ鈴木大地!”から“どうなる鈴木大地!?”へ。報われない男は黙々と評価を高めた!

文=落合初春

“頑張れ鈴木大地!”から“どうなる鈴木大地!?”へ。報われない男は黙々と評価を高めた!
 シーズン終盤。FAのウワサがボチボチ出始めるこの季節、予想以上の注目を集めているのは、そう、鈴木大地(ロッテ)だ。

コンバートの鬼


 遊撃、二塁、三塁…。ここ数年、チーム事情によってコロコロとポジションを変えられてきた鈴木大地。昨季は三塁であんなに頑張ったのに、今季はあっさりとレアードが加入。あっという間に三塁のレギュラーを奪われてしまった。

 しかし、結局、困ったときの鈴木大地なのである。開幕6戦目には開幕から絶不調に陥っていた井上晴哉に変わって一塁のポジションをゲット。その間に新外国人のバルガスが成績を伸ばせず、指名打者の枠が空くと、そのまま正一塁手に収まってしまった。

 そもそも遊撃の選手なので、フィールディングに問題はなく、無難に一塁守備をこなしている。

 さらに恐ろしいのは、矢継ぎ早に今度は外野を守ったことだ。5月終盤に角中勝也が負傷離脱すると、左翼で7試合のスタメン出場。また、中村奨吾が不調に陥れば、二塁で出場。最近は調子を落としているレアードが指名打者に入り、鈴木大地が三塁を務める試合も増えてきた。

 どこでもフィットできる鈴木大地も恐ろしいが、「まぁ大地にやらすか」と即断しちゃう首脳陣も恐ろしい…! はっきりいって、やろうと思えば中堅も右翼も守れるだろう。シーズン前には半分笑い話だったが、本当に鈴木大地は内外野どこでも守れる選手になってしまったのだ。

打撃好調で評価もうなぎのぼり


 これほどのユーティリティー性を持ちながら、評価がイマイチだったのは、打撃が平凡だったからだろう。これまでのキャリアでは打率2割6分から2割8分台だった。

 しかし、今年は一味違う。ポジションがコロコロ変わる状況にありながら、9月5日時点で打率.300、出塁率.380(ともにリーグ7位)をマーク。15本塁打、63打点はすでにキャリアハイだ。

 6月には22試合で打率.344、7本塁打、21打点の成績を残し、自身初の月間MVPも受賞している。

 以前、「頑張れ! 鈴木大地!!」という企画でこんなことを書いた。「鈴木大地=堀幸一」である、と。しかし、内心は「打撃は堀幸一に及んでいないよなぁ」など思っていた。とんだ失礼をお詫びしたい。いまや、堀の全盛期に劣らない抜群の成績を残している。

その献身性に涙


 コンバートと打撃面での成長を両立させた男。それが今季の鈴木大地である。左翼で出場した際には、こんな言葉を残している。

「レフトでもファーストでも素人だからといってミスしていいわけじゃない。ピッチャーも人生を賭けている。もっと練習する必要がある」

 これぞ、フォア・ザ・チーム。献身性。ユーティリティープレーヤーという言葉では物足りない。鈴木大地はデディケーションプレーヤー(献身的選手)である。

 推定年俸はわずか1億円。今オフはFAが控える。人的補償の問題があるが、どこのチームもほしい存在だ。冷静に考えるとマネーゲームに強い、巨人やソフトバンクの弱点を埋める存在でもある。

 ただ、打撃は水物。たとえば、来季、打率2割7分台だったとすれば、FA先では微妙な反応になるかもしれない。しかし、ロッテでは「大地、よく頑張った!」となる気がする。

 どちらにしても、楽しみであることに違いはない。鈴木大地の決断に注目したい。

文=落合初春(おちあい・もとはる)

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